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バベルの塔または火星での生活 このページをアンテナに追加 RSSフィード



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2016/10/29(土)

札幌 CUBE GARDEN

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田島貴男 ひとりソウルツアー2016」

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2015/07/30(木)

「ビッグサンキュー」の謎(?)

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「ビッグサンキュー」の謎とその解釈の変遷

新譜『ラヴァーマン』。発売からの約2か月、ほぼ毎日のように聴いてきました。

ラヴァーマン

ラヴァーマン

ネットではさまざまなな感想・解釈が出ていることでしょう。いろいろな方の思いに左右されないうちに、自分の思うままを書き留めておきたかったのですが、しかし、私事のとてつもない忙しさにかまけ、まったく感想を書けないままでした。

そろそろ多忙が一段落ついてきたので、ではそろそろ感想でも書こうか、と馴染みのブログへ行ってびっくり。どうやら「ビッグサンキュー」に関してだけは、先に書いておかなければならない事態となりました。

オリジナル・ラブ『ラヴァーマン』最大の謎「ビッグサンキュー」に挑む(ドラ泣き篇)
http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20150729/doranaki

オリジナル・ラブ『ラヴァーマン』の楽曲構成を考える(3)~違和感の正体に迫る!
http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20150712/OLL3

盟友(と、あえて言います)rararapocariさんのブログ。ここはまさに「オリ馬鹿たちの知の結集」と呼ぶにふさわしく、田島愛に溢れた方々が集い、侃侃諤諤とさまざまな解釈を繰り広げる場です。しかし、このブログにおいて、「ビッグサンキュー」への解釈が非常に拡散していることに、素直に驚きました。

たしかに「ビッグサンキュー」は、なにも考えずに聴けば、『ラヴァーマン』全体の中では「違和感」を感じる曲かもしれません。しかし、たった一点「あのこと」に気づけば、けっして奇を衒った曲でなければ、ましてや「イロ物」でも「捨て曲」でもないことがわかります。田島はようやくこのタイミングでこの曲を発表することができたのですし、後述するように、その間に流れた時間のことを考えるとむしろ涙さえ誘います。

もちろん、「あのこと」に気づいていないのは、rararapocariさんだけという可能性もあります(^^;)。しかし、あれほど自由に解釈を思いつき、しかもまとめあげる能力を持ったrararapocariさんでさえ気づいていない、ということは、もしかするとまだ「あのこと」に気づいていない方は意外と多いのかもしれません。

「あのこと」に気づいている方にはかなりもったいぶった言い回しになっているでしょう。そう、単なる「あのこと」です。しかしそういう方こそぜひ、改めてrararapocariさんのブログを読んでみてください。

この中でさまざまな解釈を思いつくrararapocariさんには、素直に尊敬の念が湧きますし、なにより強い愛情を感じます。このようなさまざまな解釈ができるということは、翻って言えば、「ビッグサンキュー」という曲がその人の人生を写し出すことができる「普遍的なポップス」であることの証左なのだと思います。この曲の深い可能性を感じさせてくれるのが、rararapocariさんの一連の記事なのです。


「2曲目」に期待していたこと

(「あのこと」に気づいている方は、いい加減まだるっこしいはずなので、このセクションは飛ばして構いません)

さて、自分も「あのこと」にすぐに気づけたわけではありません。

アルバム『ラヴァーマン』は、タイトルチューン「ラヴァーマン」から始まります。ORIGINAL LOVEにおける「1曲目」の重要性というのは、何枚かアルバムを聴いた人であれば、とても大きいものであることを知っていると思います。1曲目が「シングル」で、かつタイトルチューンというのは、これまでのORIGINAL LOVEのアルバムの中でも初めてのことです。

「ラヴァーマン」に対する田島の思いというものは、今回のインタヴューの中でも折につけ触れられていた話です。それだけの曲を「1曲目」としているアルバムには、否が応でも期待が高まるものです。

「1曲目がタイトルチューン」というと、マーヴィン・ゲイの "What's Going on"が自然と連想されます。

タイトルチューンであり1曲目の'What's Going on' はもともとシングルとして発表され、この曲を元としてアルバム全体が作られました。結果としてソウルミュージックの中でも類まれなる「名盤」が誕生したのです。

このアルバムの2曲目といえば、'What's Happening Brother'という曲でした。「イントロダクション」としての1曲目が終わってこの2曲目が始まると、いよいよこの稀代の名盤の中に踏み込んでいくんだ、というワクワクした感覚になります。

https://www.youtube.com/watch?v=Jb_MCzuFtg8

'What's Happening Brother'はピチカート・ファイヴ時代の「惑星」の元ネタとなった曲で、田島とも因縁浅からぬ曲*1田島が新譜の2曲目にどういう曲を持ってくるのかということは、アルバムを聴く上での大きなポイントになるだろう、と勝手に期待を高めていました。

ところでその「2曲目」に対して、自分はマーヴィン方向ではない、別の見当をつけていました。それはたぶん、ローリング・ストーンズのような感じで来るのではないかと思っていたのです。ストーンズのアルバムも「1曲目」にアッパーなチューンを持ってくることが多いです。そして「名盤」の誉れ高いアルバムのいくつかは、その「2曲目」にちょっと緩やかな曲を持ってくるというパターンがあります。

具体的には、"Beggars Banquet"の 'Sympathy for the Devil'(悪魔を憐れむ歌)の後に、ブライアン・ジョーンズの乾いたスライドギターが光る'No Expectations'が来るような感じ。

https://www.youtube.com/watch?v=ONymOaZ-IQ8

だから、シングルとして耳慣れた「ラヴァーマン」の次に、ブルージーな「ビッグサンキュー」のイントロが流れたとき、まさに「キタ!」と思ったのです。

"Stickey Fingers"で 'Brown Sugar' のあとに 'Sway'が来る曲順もとても大好きなので、2曲目にこういう緩い曲が来たというだけでもうハッピーになれたのでした。違和感どころか「名盤確定」くらいの気持ちです。

それにしても'No Expectations'とは田島も渋いなぁ、と最初のうちはのんきに考えていました。

そして「あのこと」に気づくカタルシス

発売から1週間くらい経った頃、アルバムを聴いた人と会話する機会を得ました(ネットではなく対面の会話です)。自分とも趣味の近かったその人は、「2曲目はオーティス・レディングっぽいね」と言ったのです。

自分はストーンズで頭がいっぱいになっていてそのことに気づけずにいたので、「なるほど!」とすぐに同意しましたが、そのときはそれだけ。それ以上に話は発展しませんでした。

けれども、なにか大事なヒントをもらった気がしたのです。家への帰り道でそのことがふと思い出されて、考えてみました。

そして、「ビッグサンキュー」というタイトルを思い出したときに、まさにカタルシスが訪れました。

(ここで溜めます)



オーティス・レディング、と言われたときにすぐに気づくべきでした。

なんのことはない。「ビッグサンキュー」とは、忌野清志郎へのトリビュートだったのです。

https://www.youtube.com/watch?v=8o58ib6Mmxc

Otis Redding - Try A Little Tenderness

https://www.youtube.com/watch?v=UnPMoAb4y8U


清志郎の2009年5月2日の訃報から、はじめての田島の日記。

http://diary.originallove.lolipop.jp/?eid=434

キングの曲が頭の中でずっと鳴っているよ。キングとすこしだけ一緒に過ごした楽しい思い出が強く蘇っている。キングがオレに話してくれたくだらないかっこいい話で思い出し笑いしたよ。ステージの上で布団を冠って寝ていたキングが、同じ衣装を着ていつまでも寝ていたよ...。あとは言いたくない。そのうち言うかもしれない。

自分が知る限り、田島が清志郎の死について語ったのはこれだけです。

そしてこの「そのうち」が、ついに訪れたのです。

田島はデルタブルースがやりたかったのではなく、清志郎へのトリビュートとしてオーティス・レディング風の曲を作ったのでした。

(清志郎とオーティスの深い関係については、自分がくだくだと書く必要などなく、ちょっと検索すればたくさんの解説が見つかるはずです)

改めて歌詞を読み直してみる

そのつもりで聴いてみれば、この曲の歌詞はまったく不可思議なものではありません。

このまま行くよ / しばらくは会えない / 泣き顔隠したふたり

この「ふたり」は言うまでもなく、清志郎と田島です。田島の一方的な思いなのかもしれませんが、われわれはこのふたりがどれだけ強い絆で結ばれていたかを知ることはできません。知る限りでは、2004年のNHKでの収録が、二人の唯一の共演だからです。

2004/11/11(木) NHK総合「夢・音楽館」第63回 出演

http://originallove.g.hatena.ne.jp/keyillusion/20041111

しかもこの放映では、ほぼ「初対面」だったような印象さえあります(郡山でのRCのライヴを観た思い出を田島が嬉しそうに話していたのを、清志郎が「君だったのか」と茶化すシーンがあった)。


さて、rararapocariさんをして「難関」と言わしめたこの箇所。

さよならの向こう側へ / 旅だったね / きみはぼくからもう自由なのさ

(※「旅だった」はさすがに「旅立った」だと思います)

「きみはぼくからもう自由なのさ」というのは、はたして「ぼく」の独りよがりなのでしょうか?

上でも書いたように、二人の共演はごく限られていたので、田島と清志郎のプライヴェートな関係というのは、われわれ部外者からはわかりません。けれども、もし2004年が初対面だとしても、約5年間は交流の時間があったはずです。「後輩」である田島のことをなにかと気にかけ、かわいがっていた清志郎を想像するのは、それほど難しいことではないでしょう。まさに「優しくしてくれて いつも許してくれて」いた人だったわけです。田島としては「世話になりっぱなし」という思いだったのかもしれません。

それが「さよならの向こう側」という決定的な死の別れによって、「ぼく」が「きみ」に迷惑をかけることがついになくなったのです。つまり、「きみ」が「ぼく」から「自由」になったのです。この歌詞はそのことを"祝福"しているのではないでしょうか。

https://www.youtube.com/watch?v=XaKt1nYNhmg


もちろん、以上の「解釈」が絶対唯一なものではないことは、言うまでもありません。お前の妄想である、と片付けてもらっても構いません。なにせ田島がインタヴューなどで、直接言及しているようではないからです(全部チェックしてないので、もしあるのなら教えてください!)。

しかしこれまでの例を考えると、自分からそういうことを語ることはないと思われます。それは「アポトーシス」が、ある男たちへの挽歌であることを、今となっては知る由がないのと同じことです。

マイレヴュー その8『ビッグクランチ』 第3回(全3回)
http://originallove.g.hatena.ne.jp/keyillusion/20070918/myreview

(「ビッグクランチ」ツアーの田島が、この曲で目に涙を浮かべていたのが忘れられないのですが、今回「ビッグサンキュー」でどういう顔をしながら歌っていたのかが観られなかったのは、とても残念でした)


「ポップス」は人生の鏡。聴いた人それぞれが、自分の人生を反映した解釈を自由にできることこそが、かけがえのないことなのだと思います。田島もきっとそういう部分を大切にして曲を作っているのだと思います。



(蛇足)

清志郎との共演の時、「JUMP」をカヴァーしているのですが、「希望のバネ」の「思いきりジャンプしよう」というのは、このオマージュなのかな?(これはかなり妄想)

*1:ただしそのアレンジは小西康陽だったのでしょう

中居中居2015/08/01 03:201996年頃、宮田さんとスタジオでお会いした時、あっ、元オリジナルラヴの〜と言うと、微妙に苦笑いされた思い出がある。
本人は嫌だったんだろうなー。今、思うと。
もう自由なのさ。

rararapocarirararapocari2015/08/02 22:41ありがとうございます。
自分は忌野清志郎自体に思い入れがあまりないので、全くの想定外からの指摘でしたが、ストーンズや、オーティスレディングの話と絡められると、非常に納得しやすい解釈だと思いました。確かに、まさに「ビッグ」な感じの曲調からすれば、歌われる対象はドラえもんやのび太ではなく(笑)、大物であるとした方が理解出来ます。
ただ、やはり「公園の芝生に 青いシートを」の部分など、歌詞の意味をそのままとると、相手が清志郎ではしっくり来ない部分があります。
また、それほど大物への歌であれば、やはり2曲目という中途半端な曲順がよくわかりません。アポトーシスのような曲順であれば分かりますが。
とはいえ、聴いた人それぞれが、自分の人生を反映した解釈を自由にできることが重要という指摘には同意できます。この曲に限っては、想像力を働かせるのも結構難しいですが(笑)

keyillusionkeyillusion2015/08/04 01:54>中居さん
どうもありがとうございます。亡き宮田さんのそのエピソードを引き出せただけでも、この駄文を書いた意味がありました。

keyillusionkeyillusion2015/08/04 02:03>rararapocariさん
清志郎で頭がいっぱいになって、他の自由な解釈ができませんでした。なんだか「不自由」な話です。

まだインタビューをぜんぶ読んでいないのですが、とくにご指摘がなかったということは、やはり田島が特にこのことに言及していないらしいことはわかりました。

「公園の芝生」というのは、清志郎だとすればフィクション的な風景なのだと思います。「青いシート」が「青空」(なにも不安要素のない日常の象徴)との対比なのでしょうが、イメージ的な描写以上の意味はあまり感じられません。ただしこの曲が、「夜の宙返り」の続編なのだとすると、また解釈が変わってきそうです。

「2曲目という曲順」は、そこは「ノー・エクスペクテーション」へのオマージュということで、自分の中では違和感がないのですが(笑)、「3部構成」という聴き方をすればこの位置以外が逆に思いつきません。そのあたりは、全曲レビューの時に考察してみます。

keyillusionkeyillusion2015/08/04 02:05ところで、この間「グレーテルのかまど」というNHKの番組でくるりの「ばらの花」が取り上げられていました。
http://www.nhk.or.jp/kamado/story/index50.html
自分は「失恋ソング」と解釈して聴いていたのです。悲しみのあまり「ジンジャーエールこんな味だったっけな」と思う、切ない曲なんだと。
ところが、そのジンジャーエールの味の違和感は、実は「単なる実体験」。作詞しようと決めて、久々にジンジャーエールを買って飲んだら、辛口だと思っていたのに甘くてまずい、と。ただそれだけ。もっとなにかエピソードがあるのだと思っていただけに、それを知ってかなりの衝撃でした。
まぁでも、こういう「勘違い」こそがポップスの醍醐味であり普遍性なんだよな、と思ったのでした。

SWEET SWEETSWEET SWEET2015/08/10 01:36keyillusionさんの「ビッグサンキュー」の解釈が、自分の抱いた感想と同じもので安心しました。この曲は忌野清志郎への個人的な思いを綴ったラブソング(でもある)ということで間違いないと思います。
オーティス・レディングを思わせるブルージーな音作りは言うまでもなく(オーティスを敬愛する清志郎はメンフィス名誉市民)、歌詞の端々に清志郎を連想せざるを得ない「ヒント」がちりばめられていますし、明言はしないまでも清志郎への思いをかたちにしたかった田島貴男の感謝の念が、ユーモアを湛えた作風から伝わって来ます。

もちろん田島の目指すポップスとは、個人的な出来事をそのまま曲にして自らを慰めるような狭いものであるはずもなく、特定の人物との思い出のようなものを内包しながら、生きていれば誰もが経験する、大切な人と離ればなれになるという痛みを、普遍的なラブソングのかたちをとって表現したかったのでしょう。
シンプルなラブソングとして聴くことも出来るし、解釈は聴き手の数だけあるべきだと考えているからこそ、あえて田島は清志郎のきの字も出さないのでしょう。

物語の小道具として「青いシート」が登場しますが、ここで大切なのはふたりの関係性であり、木を見るのではなく森に目を向けることが、田島が言うところの「ポップスの持つ謎やミステリー」を読み解く手がかりなのだと思います。おそらく意味や整合性で答えが見つかる代物ではなく、聴く側が自分自身の経験した喜びや痛みを探った時に初めてカタルシスを伴って迫ってくるのが田島貴男の書く歌詞であり、当てる光の角度を変えると全く異なる姿を現す多面的な構造を、確信的に作り上げているのだと思います。
個人的にはこの別れをして「しばらくは会えない」「泣き顔隠したふたり」という表現は作詞家としてのちょっとしたひとつの到達点ではないかなと感動しています。


田島がアルバム「ラヴァーマン」を通して伝えたかったものを一言で端的に表すとすれば「99粒の涙」の一節「変わった夢もある/変わらない気持ちも」ということになるのでしょうか。過ぎていく時間を音楽で表現する上で、「死」というテーマは身近にある実感として、どうしても歌う必要があったのだと思います。
keyillusionさんの仰るように、キャッチーな1曲目から緩やかな2曲目に繋がる流れは極めてストーンズ的であり、自分はすんなり受け入れることができました。「ビッグサンキュー」はともすれば大仰な印象になりがちなテーマの曲なので、あえてアルバムの前半にさらりと配置して全体のバランスをとったのではないでしょうか。


こちらの記事のきっかけとなったrararapocariさんのブログ(素晴らしい3本立て!)と合わせて、とても楽しく読ませていただきました。
「ラヴァーマン」に関するインタビュー記事や感想を綴ったブログなどは読み応えのあるものばかりで、やはり聴いた人それぞれが、何か語らずにはいられない魅力に溢れた強いアルバムであることの証明なのだと思います。

2015/07/26(日)

札幌 SAPPORO MUSIC TENT LIVE

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SAPPORO CITY JAZZ Ezo Groove 2015 SAPPORO MUSIC TENT LIVE」

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2015/07/27 札幌 SAPPORO MUSIC TENT LIVE

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  1. ラヴァーマン
  2. The Best Day of My Life
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    田島貴男インフォメーション>by 木暮晋也
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