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バベルの塔または火星での生活 このページをアンテナに追加 RSSフィード



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2006/06/27(火)

 その2『DESIRE』

|  その2『DESIRE』 - バベルの塔または火星での生活 を含むブックマーク  その2『DESIRE』 - バベルの塔または火星での生活 のブックマークコメント

全アルバムを改めて聴きなおす「マイレヴュー」シリーズの2回目。シリーズ化しようと思っていたのに、第1回『ELEVEN GRAFFIT』からはや1年余。全アルバムとも、1年に1回は書こうという当初の意図を思い出してみると、実は、この1年でまったく聴いていないアルバムもあったのではないか…という事実が浮き彫りに…。まぁ、マイペースでいきます。

おことわり

オリジナル・ラヴ マイランキングの各アルバム版です。

実際に曲を聴きながら、思い出すことを思うままに書いています。そして、「今、この時点で、自分にどう聴こえるか」ということを主眼にして書いています。昔話が多いのは、曲にまつわっているイメージをそのまま書いているからであって、曲の解説のつもりなのではありません。したがって、いちいち裏を取る作業は省略していますので、信憑性を少しは疑ってください。

Desire

Desire

発売当時の状況

前年(1995年)秋のツアー、木原龍太郎と小松秀行の姿がステージから消えていた。ついにORIGINAL LOVEは、田島のソロ・ユニットになってしまった。過去メンバー脱退時もそうだったのだけど、ファンへ向けての公式アナウンスは、特になかったように覚えている。

そのツアーの最中に「新曲」として発表された「プライマル」は、翌年(1996年)2月に発売、NTV系ドラマ「オンリー・ユー~愛されて」の主題歌としてタイアップされたことで、ORIGINAL LOVE最大のヒット曲となった。たしか60万枚。オリコンの最上位は6位だったか。

「一人バンド」に「大ヒット」という環境の激変にも関わらず、田島は淡々と次のアルバム制作に取り掛かっていた。しかし、田島の次の方向性はどうにも訝しいものだった。当時のラジオ番組「Pulse of Love」を聴いていると、どうやら民族音楽の収集に向かっているようだったからだ。番組では、アラブ、ギリシャ、インドなどの音楽を掛けまくっていてた。先のツアーでも、沖縄の三線をフィーチャーした「東京~沖縄~ニュー・オーリンズ」(仮題)という新曲も披露していた。

大体の人が考えていた方向性は、「プライマル」を旗頭にして、いよいよ万人大衆ウケする曲を連発していく方向か、「男ユーミン」と揶揄されたような*1大人のポップスを追及する方向かだったので、「プライマル」のヒットで入ってきた新しいファンも、アーバンポップスを期待する古いファンも、どちらも先の見えない状態だった。

夏が近づくと、いよいよアルバムの内容がわかってきた。やはりこれまでの方向性とは大きく違う、民俗音楽をフィーチャーする方向だった。三線ばかりではなく、ウードやスルドといった楽器をふんだんに使い、曲ごとに民俗色あふれるアルバム。まるで、「プライマル」のヒットを否定するかのような、これまで以上にマニアの方向へ向かうようだった。DESIRE=欲望というタイトルも、「それが田島のやりたかったことなんだろうか?」という戸惑いをいたずらに誘うだけだった。一方、ファンにとっての目玉は、あの小山田圭吾が絶賛していた幻の名曲「少年とスプーン」がリヴァイヴァルされることだった。

先行シングルは、さわやかなポップチューン「Words of Love」。「プライマル」の余勢を買ってか、スマッシュヒットとなった。


マイレビュー『DESIRE

以前の評価は、マイランキング8位『DESIRE』を参照のこと。

しかし今回、聴きなおして、評価が大きく変わった。上では、『街男』を「分水嶺」として、このアルバム以降を辛く評価していたが、今はこのアルバムを、その分水嶺の良い側へ置きなおしたい。つまり、このアルバムは、やっぱり素晴らしいと思ったのである。

1.Hum a Tune

「調べをうなる」くらいの意味のタイトルの軽い語感とは裏腹の、重量級のオープニングソング。次の「ティラノサウルス」まで、ORIGINAL LOVEの1曲目といえば、大作なのが恒例だった。途中で1回ブレイク部を置く2部構成は、「Darlin'」という前例はあるもの、さらに明確に構成を意識してスケール感を出している。

個人的に、構成のしっかりとした大曲は大好きなのだが、この曲は案外そのスケールの大きさと釣り合っていないような気がしていた。singでもshoutでもない、この「hum」(口ごもる)という控えめさがあるから? いやいや。それまでの小松&佐野の強烈なグルーヴに慣れた耳にとって、リズム感がなんか平板な印象があったのだ。後の「青空のむこうから?」も同様に、曲の持っている世界観と、実際に奏でられている音がもたらすスケール感が、なんかチグハグな気がしている。つまり、「名曲」であることを認めるには吝かではないんだけど、他の名曲ほど自分の心に突き刺さってこない曲である。

また、シタール風のギターがこの曲ではポイントとなっているが、たしかこの当時、とくに斬新なものでなかったような覚えもある(もっとも、他になにがあったのか思い出せないのだが)。

でも、田島にとって、「ソロ」1作目のオープニングソングであるこの曲が、非常に重要なものであることは、好き嫌いに関わらず伝わってくる。後に、田島がはじめて監修したベストアルバム『変身』にこの曲が選ばれたことは、とても納得がいった。

たしか、このパーカッションのアレンジは、以前のツアーで「The Rover」で試されていた。

なお、ファンクラブの「プライム・チューン」の名称は、この曲(と「プライマル」)から取られている。

2.ブラック・コーヒー?

上で「分水嶺」が変わったのは、この曲の再評価が大きい。この曲はずっと、コミックソングとしか聴いていなくて、「Hum a Tune」の余勢をこの曲でぶった切ってしまうあたりが、大いに不満だった。

ところが、今回聴いてみると、以前ほどにコミカルには聴こえなくなっていたのだ。なぜかと考えて、すぐにわかった。『踊る太陽』や『街男 街女』を通り過ぎて、そういう曲に耐性ができたからだ。

たしかに、「Jumpin' Jack Jive」や「真夏の女たちへ」のように、コミカルな曲はこれまでにも存在している。しかし、それらの曲が特に気にならず、この曲を必要以上に軽く感じさせていたのは、やはり大作「Hum a Tune」の直後だったからだろう。さらに、「Hey! Space Baby」や「Yen」のような曲を通り過ぎた耳には、もうこの曲を毛嫌いする理由はない。…というか、当時からこの曲に抵抗なく染まれた人は、田島の本質を見抜いてる人なんだろうな、と尊敬。

ちなみにオランダでは、「コーヒーショップ」とはソフトドラックを吸えるお店のこと(普通にコーヒーを飲みたいなら、カフェへ行かなければならない)。そういう耳で聞くと、結構面白い曲。オリジナル・ラヴにとっての「Lucy in the Sky with Diamonds」か*2

ラテンミュージックにしてもちょっと能天気なリズムは、実はギリシャ音楽からの影響。

3.ガンボ・チャンプル・ヌードル?

まぁ間違いなく、ORIGINAL LOVEの中でも5指に入る珍曲。って、あと4曲もあるのかよ!?(あるな)

前年のツアーで、「ニューオーリンズに行ってできた新曲です」といって、披露された。そのときの困惑は、こないだの「ピストル・スター」の比ではない。でもこのとき、ピアノをKyonがやっていたんだよね。あれはよかった。

今聞いても、田島と目を合わせられないような困惑のある曲だけど、楽しい曲であるのも確か。「始発列車も忘れます!」と歌いながら、ORIGINAL LOVEファン仲間と朝まで遊んだ思い出もある(遠い目)。ただ、アルバム3曲目だけは、やめて欲しかったなぁ。

全然関係ないけど、この3つの食べ物の中では、ガンボが一番好き。ヨーロッパ好きなのでアメリカの地に憧れは少ないけど、ケイジャン料理は例外の一つ。行ってみたい。

4.青空のむこうから?

Hum a Tune」と並んで、肩透かしの大作。と、書いてしまった理由は上述。その原因は、サビの裏で奏でられる、アコーディオンを支える音が何か足りないというあたりから出ているようだ。「Hum a Tune」のように、もっとパーカッションを入れれば、より地に付いたアレンジだったと思うのだが。

以前は「ブラック・コーヒー」で切られた勢いが、ここまで聴いても戻らなかったのだが、今回聴いてみると悪くない。やっと普通に聴けるようになったようだ。

歌詞を読み返してみると、やっぱり「鍵、イリュージョン」に繋がるものがある。「いつだって愛していよう」のくだり。

'99年に日比谷の野音でライヴがあって、このときに野外で演奏された1曲がこれだった。GOROさんのディジリドゥも混ざって、大地や空と一体になるような演奏。あれこそがこの曲の真価なのだと思った。ファンクラブ限定の上、すでに廃盤だが、ライヴヴィデオ『FIREWALKING ― ORIGINAL LOVE TOUR 1999 焔歩』に収められていたので、この曲が好きな人はぜひ聴いてみて欲しい。

5.Masked?

はじめは、奥田民夫にしか聴こえなかった(笑)。民夫のソロデビューも、ちょうどこの直前だったし。

田島にしては珍しいディストーションの効いたギターだったが、最近、『踊る太陽』以降には散見できるようになってきた。田島の目指す音のひとつなんだろうか。

'96年のライヴで、ゲーム・コントローラーを持つパフォーマンスによる電子音アレンジで、この曲を再演していた。そのアレンジは、意外にも『L』の「ハニー・フラッシュ」の原型だった。アルバム聴いているだけだと、その2曲の繋がりなんか想像も付かないだろうけど。

6.Words of Love?

Words Of Love

Words Of Love

プライマル」のネクストシングルだったおかげで、ファンではないが当時のオリジナル・ラヴを知っている人だと、この曲を覚えている人がたまにいて驚かされる。

メロディは田島らしさがあるものの、曲調は当時の売れ線アレンジ。「いい曲」なのは間違いない。でも、それだけという感じがする(好きな人多いと思うのだけど、すみません)。

それにしても、この歌詞に違和感を覚えるのは自分だけだろうか? 後に出た「GOOD MORNING GOOD MORNING」のせいで薄らいだけど、はじめて聴いたときは、「田島ってこんな歌詞書くっけ?」という猛烈な違和感があった。

7.黒猫

この曲からあとは、まさに『DESIRE』の真骨頂。民俗音楽と田島の一流のポップスセンスが幸福な融合を遂げている。というか正直な話、『DESIRE』は7曲目以降しか聴かない時期もあったような…。

とくにこの「黒猫」は、田島の「濃さ」が見事に異国のメロディに乗っかっている。妖しさの相乗効果。文句なしの佳曲。アルバム直後のツアーでも1曲目を飾っていた。

8.日曜日のルンバ

これも最高。実はこのアルバムで一番好きな曲。ルンバのウキウキしたリズムに、日曜日のルンルン気分(笑)が完璧に乗っかっている。ストーリー仕立ての歌詞もお見事。曲の完成度としては、「黒猫」を凌ぐ。

9.プライマル

ORIGINAL LOVEの代表作なわけであるが、なんだかんだ言っても好きですよ、自分は。でも、10年経って、「接吻」ほどのクラシックにはなりきれていない感じ。まぁ、しょうがないのかも。初めて聴いたとき、自分も「接吻パート2かぁ…」と思ったくらいなので。

後に「Crazy Love」のときに、「こういうメロディは1年に1曲しか書けない」と言っていた。大変なのはわかるが、でも、今でも田島はこのくらいのメロディはもっと書けると思うんだけど。出し惜しみしていないかい?

次の年だったか、ライヴでソウルミュージック直球なアレンジにしていたのが忘れられない。

「君の部屋を見上げ続けた」という冒頭の歌詞は、ドラマの第1話のラストシーンから。ドラマを先に見て、歌詞を書いたそうだ。

プライマル

プライマル

10.少年とスプーン?

もう20年も前に作曲された曲。当時の田島本人も「こんなコード進行、もう今じゃ書けないよ」と言っていた。

今はない「月刊カドカワ」という雑誌が、『風の歌を聴け』の特集を組んだとき、小山田圭吾が1980年代(メジャーデビュー前)のORIGINAL LOVEの曲を紹介するコラムがあった。その中で「名曲」として紹介されていたのがこの曲だった。その雑誌で読んだときは、「どうせ聴けないし」とスネていたものだが、まさか陽の目を見る日が来るとは思っていなかった。それだけでも思い出のある曲。

ところが、その後、当時のオリジナルを聞く機会が訪れた(当時のファンの秘蔵テープから聞かせていただいた)。基本的なメロディはそのままだったが(1番と2番の間にブリッジがあった)、歌詞の世界が大きく違っていた。オリジナルの歌詞では、主人公は少年であり、大きくなったスプーンに乗って海で冒険を繰り広げるという内容。つまり、この『DESIRE』の「少年とスプーン」は、その当時を振り返った歌詞になっていたのである。

この曲を聴いた後で、田島の育った芦屋へも行く機会があった。高級住宅地らしく丘の斜面に家々が並ぶ芦屋は、坂道と小川の街で、まさにこの曲のイメージどおりだったことに感動した。

聴き返してみて

街男 街女』と近いアルバムなのだと思った。

民俗色に溢れるアルバムだが、田島本人は「海外ではなくて、東京のポップス」と断言していた。「少年とスプーン」はボーナストラックのようなものと考えれば、それもわからなくはない。

『街男』は、田島流のシティポップスということができると思うし(そういう評価があまりされていないのが残念なのだが)、『DESIRE』は10年前に同じことをやっていたということになる。

*1:実際にそういうレビューが当時あった。

*2:ビートルズのこの曲の裏の意味は、調べればわかります。