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バベルの塔または火星での生活 このページをアンテナに追加 RSSフィード



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2006/08/14(月)

 その4『Summer Love』

|  その4『[[Summer Love]]』 - バベルの塔または火星での生活 を含むブックマーク  その4『[[Summer Love]]』 - バベルの塔または火星での生活 のブックマークコメント

「マイレヴュー」シリーズの4回目。本当は『XL』の予定だったんですが、気がつけば、夏が終わってしまいそうなので、あわててコンピレーション盤*1の『Summer Love』にします。今やらないと、その機会はまた1年後になってしまうので。


おことわり

実際に曲を聴きながら、思い出すことを思うままに書いています。そして、「今、この時点で、自分にどう聴こえるか」ということを主眼にして書いています。昔話が多いのは、曲にまつわっているイメージをそのまま書いているからであって、各曲の解説のつもりなのではありません。したがって、いちいち裏を取る作業は省略していますので、少しは信憑性を疑ってください。

まずは昔話から。

東芝EMIのコンピレーション盤乱発事件

1995年、オリジナル・ラヴは、突如東芝EMIからポニーキャニオンへ移籍した。どういう移籍劇があったのかは、噂さえも漏れることはなかったのだが、それでもその直後の東芝EMIの行動から、ただならぬことがあったらしいことは窺うことができた。東芝EMIが、田島の移籍後第1作『RAINBOW RACE』のリリースに合わせてしたことは、コンピレーション盤の乱発だった。

1995年のディスコグラフィはこのようになっている。

4/26(水) 「夜をぶっとばせ(Brand New Mix)」(東芝EMI・シングル)

4/28(金) 「夢を見る人」(ポニーキャニオン・シングル)

4/28(金) 『The Very Best of ORIGINAL LOVE』(東芝EMI・ベストアルバム)

5/17(水) 『Rainbow Race』(ポニーキャニオン・5thアルバム)

6/28(水) 『Wild Life』(東芝EMI・コンピレーションアルバム)

7/26(水) 『Summer Love』(東芝EMI・コンピレーションアルバム)

12/13(水) 『COLOR CHIPS』(東芝EMI・BOX SET)

上記7作品中、実に5作品が東芝EMIからのリリース。これはかなり異常な事態である。海外ミュージシャンのよくある例から言えば、「契約枚数がかなり残っていた段階で、田島が強引な形で移籍したのではないか???」という想像も可能ではある(繰り返すが、これは何の根拠もない自分の想像であり、噂さえも聞いたことは一切ない)。しかし、何の事情も知らされないファンからしてみれば、東芝EMIのこの行動は「アテツケ」にしか見えなかったのはたしかである。

おかげで新作『RAINBOW RACE』は、それら東芝EMIリリース作品に「埋没」してしまい、どれが新譜なのかパッとはわからない状態になってしまった。あげくは「ORIGINAL LOVEはベスト盤ばっかり」という"神話"まで生まれてしまったものである*2

そういう事情もあってか、この作品はもちろん、移籍後の東芝EMI作品はすべてオフィシャルページのディスコグラフィに載っていない。『RAINBOW RACE』ツアー時には、「最近いろいろリリースされてるみたいですが(笑)」というような田島のMCもあった。

現在からしてみれば、4月から7月にかけての4ヶ月連続のオリジナル・ラヴ作品のリリースなんて、まるで天国のような状況なんだが、本編の『RAINBOW RACE』が出てしまった後になると、今書いたような事情もあったし、正直なところ「まだ出るっスか!?」という苦痛でしかなくなってしまった。

そんな4ヶ月リリースの締めくくりに出された『Summer Love』。1995年といえば猛暑の夏で(まさに「サマージャム'95」fromスチャダラパー)、自分も、モーローとする頭で半ば意地になってレコード屋のレジに向かっていたように覚えている。まわりのORIGINAL LOVEファンでも、ここまでは手を出せず(というより、出さず)にいた人がいっぱいいた。買った次の日、ファン友達にCDを見せたら「え?買っちゃったの?」とクールな視線を送られ、思わぬ一服の涼を得ることができたものだった…。

それにしても、東芝EMI作品のインナーは泣きたくなるくらい貧弱だった。『Very Best』には辛うじて未発表フォトセッションがあったが、『Wild Life』は2,3枚の初出写真を使いまわす程度の内容。この『Summer Love』以降は一片の田島の姿も登場しない。せっかくのBOX SETだった『COLOR CHIPS』に1枚の新フォトさえなかったことは、もう最悪としかいいようがなかった*3。もちろん、田島の姿を見てニタニタする趣味はないのだが、デザインもグラフィックもアルバムの一部、変にプレミアムが付いた伝説の名盤ではないのだから、そういう音以外のところもきちんとして欲しかった。

そういえばこのころは、プロモーションにもしっかりとお金が使われていて(笑)、新曲・新譜のたびにレコード屋にはチラシが出回っていた。『Summer Love』のものも、涼しげな波のジャケットを全面にしたチラシがあって、それを仕事机に貼って満悦していたものだった。

…今、探してスキャンでもしようかとしてみたのだが、どこかへ紛れてしまっていた。お気に入りだったので捨ててはいないはずなのだが(その代わり「夢を見る人」や「Very Best」の販促チラシが出てきた)。で、そのチラシにもあったのだが、「オリジナル・アーティストによるオリジナル・ラヴTシャツ(4種類)プレゼント!」という企画をやっていた。そのうちの一人が、Webが広まり始めていたころにそのデザインをWeb上で公開していて、infoseeklycos(まだGoogleがなかったころ)でORIGINAL LOVEを検索するとそれが上位に引っかかった、なんて昔話もしてみたり。

聴きたくなるなる『Summer Love

昔話が長くなってしまった(オヤジ化)。そろそろ本題のレヴューを。

結局、10年以上経った今ではほとんど聴かなくなってしまったコンピ盤もあるが、年に数回は必ず取り出して聞き返しているものもある。それがこの『Summer Love』。これは、上のような事情を差し引いても、いや、そういう事情がなければ出ることはなかったかもしれないことを考えると、その最悪の事態に逆に感謝しなければならないかもしれないほどの「名盤」である。

このアルバムは、桑原茂一氏(詳しくは、はてなのキーワード解説をご参照)の選曲による「リゾート」をテーマとしたORIGINAL LOVEのコンピレーションアルバムである。桑原氏は、「日本音楽選曲家協会」の代表発起人。この協会がどういうものだったのか、未だに知らない。協会には、田島貴男本人も入れられていたようだったが、まさか田島自らが選曲を依頼したものとも思えない。事情はともあれ、その大仰な名前は伊達ではなかった。これほどまで見事なコンピレーションは、なかなか存在しないのではないか。

選曲は、1stアルバムから4thアルバムまでの東芝EMI時代の曲ばかり。そして、シングル曲を1曲も選んでいないのがミソ。1.5級とまでいっては言いすぎだが、シングルにするほどでもないものの、アルバムを聴くときに核として聴くような曲ばかりを見事にチョイスしている。実際、このアルバムの曲は、すべて筆者個人の大好きな曲ばかり! それを、絶妙としか言いようのない、緩急を自在に使い分けた並べ方をしている。


 (いつもの「マイ・レヴュー」のように、1曲1曲取り上げることはやめときます。冗長になりすぎるし、それぞれのアルバムのレヴューのときに書くことがなくなってしまうので(笑)。)

1曲目のスローな「Deeper」から、「スクランブル」がスルッと滑り込んでくるオープニングは、それだけでご飯3杯モノ。この部分にやられてしまって、オリジナル・ラヴというバンドの知識を一切なくこのアルバムを買ったのに、そのままオリジナル・ラヴのファンになってしまったという猛者が、昔購読していたメーリングリストの中にいた。それもよくわかる話である。

そこから「Sleepin' Beauty」へと自然に繋いで、「Sweat and Sugar Night」で1回落とす。ダルい熱帯夜を過ごして一転、「灼熱」で太陽全開。「時差を駆ける想い」でブラジルまでひとっ跳び。そしてまた「Without You」のレゲエでクールダウン。

そして次の部分が、このアルバムのハイライト。「Without You」でクールになったところで刻まれる「愛のサーキット」のイントロのギター! オリジナル収録の『結晶』内でも浮きまくっていたポジションの難しいこの曲を、こんなに見事にこんなに自然に処理するなんて、これは神業である。

そうしてクレイジーになった頭をメランコリーに溶かしてくれるのが、次の「二つの手のように」。この繋ぎも見事というほかない。そして、イントロで予告されていた「Deeper」がようやく全曲でリフレイン。その熱い夜の余韻を「フレンズ」で爽やかに覚ましたあと、ラテンのリズムの「心」でフィナーレを迎える。

こうして熱っぽく書いても、この選曲の見事さを伝えることは難しい。文章力の問題だけではなくて、実際の音を聞いてもらわないとならないからだ。曲間には「波の音」が差し挟まれていて、それも波のリズムをちゃんと考えた編集がなされている。その絶妙な「間」が、各曲の個性の違いを見事にクッションしてくれているのだ。とくに「4.Sweat and Sugar Night」「7.Without You」「10.Deeper」の曲前の波の音の入れ方は、悶絶モノである。

曲間に波の音を挟む、たったそれだけのアイデアで、出来上がった作品は、ORIGINAL LOVEのあまり照らされなかった一面を抉り出すことに成功している。東芝EMI時代のORIGINAL LOVEは、たしかに「夏」のイメージが強かったが(今となっては昔の話ですな)、それはたとえば「サンシャイン・ロマンス」のような、派手でギラギラした「熱」のイメージ。一方で、当時からもアルバム内では、バラードを中心にメランコリーな曲調のものは多く、ここで表に曝け出されたものは、そういう隠れた「涼」のイメージだった。

たぶん、桑原氏は、ORIGINAL LOVEの熱烈なファンでは"ない"のだと思う。ファンだったら、もっと私情が絡んで、シングルばっかりだとか変な曲ばっかりだとかのような偏った選曲になると思うのだ。4枚のアルバムを、まっさらな視線で見つめて並べ替えた、「仕事」という形容が当てはまる徹底的にクールな作業。出てきた結果は、「リゾート向け」というあまりORIGINAL LOVEらしくない顔だったのだが、これもまた、紛れもなくORIGINAL LOVEの持っていた一面なのであった。

ギタリスト田島貴男

それにしても、このアルバムを聴くと、左チャンネルのギターの音色が心地いい。『風の歌を聴け』から4曲も選ばれていて、それがアルバム全体に広げられているからなのだろう。

東芝EMI時代のORIGINAL LOVEのギタリストといえば、村山孝志だったわけだが、『風の歌』の前に脱退してしまったので、そのアルバムからの曲ならば、田島自身のギタープレイを存分に楽しむことができるわけだ。田島は、作曲家、プロデューサー、歌手、パフォーマンスなどいろんな顔が語られるが、プレイヤーとしての彼が語られることが一番少ない。しかし、『風の歌』のラテンまるだしのダンサブルなギタープレイは、もっともっと語られてもいいと思う。…といっても、ギタープレイの語彙をほとんど持たない自分にそれは難しいので、ぜひだれかに絶賛してほしいものです。

とくに、「二つの手のように」のソロギターが、とにかく好き。短くてシンプルだけど、すごく優しくて切ない気持ちになる。たしか「Two Vibration」の自曲解説で、「(その時点で)ギターソロを取ったのは(「Two Vibration」の)他に1曲しかない」と言っていたけれど、たぶんこれなんだろうと信じている。

それと、「灼熱」のギターは、たぶん村山さんだよね? あのリズムギターも鼻血が出るほど格好いいのだが、まさか田島なんだろうか?

最近の田島は、『キングスロード』でもそうだったが、またギタープレイが多くなってきたので、次のアルバムでも大いに楽しみ。やっぱさー、田島はピアノとかサックスとかトランペットなんかに浮気してる場合じゃないのよー、なんて批判めいたことを調子に乗って滑らせると、また怒られそうなのでやめとく。*4

*1:拙企画「マイレヴュー」はオリジナル・ラヴの全レコード(シングルはもちろん、アナログも含む)を取り上げていく予定です。

*2:その原因は、事実上のリミックス盤である『Sunny Side of ORIGINAL LOVE』を「ベスト盤」と銘打ってしまったこともあるのだろうが…。なお、過去音源を直接収録した「ベスト盤」で、かつ田島が監修したものは、全ディスコグラフィ内でも『変身』1作しかない

*3:実際『COLOR CHIPS』は、いずれレヴューをすることになると思うが、コレクターでもなければ、まったく買う必要のない内容である。

*4:ギター以外の楽器をやること自体は、なんもイヤじゃないです。楽曲の幅も広がったし、イイコトヅクメ。念のため。