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バベルの塔または火星での生活 このページをアンテナに追加 RSSフィード



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2009/05/08(金)

ここがイイのか?『東京 飛行』

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先月23日に書いた「ここがイヤだよ『東京 飛行』」と対になるエントリです。

上では相当ひどいことを書きなぐったものですが、それというのも実は今日のエントリでのフォローを意識してのものでした。

上を書いたときは、まだこちらのフォロー側で書きたいことが漠然としていて、誰かのツッコミを期待して(それで考えがブラッシュアップできると思ったので)あえて極論的に書いたのですが……まぁ、案の定、ナシノツブテだったわけで。でもまぁ、結局自己解決しました。

東京 飛行』について書き連ねるのは、これが決定版かも。

長いです。


もう2年以上も前になるが、『東京 飛行』の「マイレヴュー」で、

このアルバムのキーワードは、「喪失」である。

と書いたことがあった。書いた当時には、もちろん満足していた結論だったが、その後何度も『東京 飛行』を聴いていて、どうもそれは表面的な特徴でしかないように思えてきた。もっと何か、言い足りていない本質的な何かが奥底にあるように感じてきたのだ。

それが何なのか?とずっと答えを探しあぐねていたのだが、最近、過去の自身のブログを見ていたら、『街男 街女』(2004年)のインタヴューに引っかかった。

僕っていうと『接吻』みたいになっていてね。どっちかっていうと、ああいう官能的な歌を歌うのって、僕は得意なんですよ。それで、ほかにそういう歌を歌ってる人がいるかっていうといないような気がして。欲望系、煩悩系っていうか、そこをちゃんと歌にしてやっていけないもんかなっていうふうに自覚してきました。そこの席が今空いてるな、日本では。だから僕はそこをやってみようかなって。

エキサイト:ミュージック(音楽)インタビュー・Original Love

この「欲望系、煩悩系」という言葉を見つけて、ようやく全てがパタパタカラカラと、うまく繋がったような気がした。

「欲望系、煩悩系」という言葉。このインタヴュー時の『街男 街女』のときは、「沈黙の薔薇」や「鍵、イリュージョン」などがあったから、それほどピンとは来なかった。しかし、それ以後の『キングスロード』『東京 飛行』で考えてみると、相当シックリとくる言葉だ。

キングスロード』の先行シングルの中にあった「ピストルスター」も、「きみのとりこ」も「さよなら ルビーチューズデイ」も、あのギターの音は、まさに「煩悩」の音楽化なのではないのかな。

とくに『東京 飛行』は、「欲望/煩悩」という言葉を念頭にしてこのアルバムを聴きなおすと、実に印象が変わる。「ジェンダー」の男と女のせめぎあい、「オセロ」の白黒付かない情念、「2度目のトリック」の未練がましさ、「13号室からの眺め」の暑苦しい絶叫、「ZIGZAG」のドス黒い部分にこそ宝があるという格言、そして「煩悩」の塊が浮遊する「エクトプラズム、飛行」…。まさに「欲望渦巻く」といった形容が相応しいアルバムではないだろうか。「『お前、悪いやつだな』といういい音がするの」と田島が言ったソリッドなギターの音色も、その欲望を掻き立てているサウンドのように思えてくる。

そして、このインタヴューの中で、『東京 飛行』へ自分が不満に思っていたことの答えが、まさに田島の言葉に在った。

田島:(前略)僕の声で歌ったら、いい感じの「ダメな歌」になるだろうなって思いました。

Excite:ダメな歌ですか(笑)。

田島:要するにブルースであるということです。ダメなことを歌っている曲の素晴らしさってあるんですよね。『あ~、よくこんなダメなところを歌にしてくれた!』って、なんか思うんですよ。カッコイイって。

Excite:ダメなことがカッコイイみたいな?

田島:そうじゃないですけどね(笑)。なんて言ったらいいんだろうな……気持ちが解放されるときって、明るい作品なり映画なり絵なりを見て、解放されることもあるのかもしれないけど、ものすごく暗い悲しい作品に接して、自分が解放されて洗われたような気分になる場合もあるんだよね。そういう感じかな。

エキサイト:ミュージック(音楽)インタビュー・Original Love

これは、「あまく危険な香り」について答えたことである。ただ、その曲にはそんな「ダメな歌」などという感じを抱かなかったので、読んだ当時はまったくピンと来なかった。

しかし、これを『東京 飛行』に置き換えてみると、「ああ、そういうことだったのか」とすごく合点がいった。結局、自分にとって『東京 飛行』は、まさに「ものすごく暗い悲しい作品」なのだ。歌詞の不完全さが気に入らないというのも、実は表面的な話にすぎなかった。もっと根本的な不満は、ココにあったのだと思う。

踊る太陽』も『街男 街女』も、かつての『L』も、根っこの部分では「明るさ」や「希望」があるから拒絶感はなかった。しかし、『東京 飛行』は根底には「暗さ」があるから、拒否感があったのだろう、と思うのだ。そういえば、アルバム全体の印象に反して、「明日の神話」や「遊びたがり」が大好きなのも、そこに大きな安心感や安堵感を覚えるからなのだろう。

ついでに、『ムーンストーン』のころから言っていた「ブルース」という田島の言葉の意味もここで解決できるし、さらには先日のエントリで考えた「愚者の音楽」というのも、まさにこのあたりのことを指しているのではないのだろうか?


先に引用したところで、田島が自ら得意だと言った「官能的な歌」と言うのは、たしかにこれまでは、「接吻」のような「ソウル・ミュージック」に根ざした音楽だった。しかし当時の、いや現在も田島は、そういう方向での<官能>を敬遠しているフシがある。ソウル風味を「封印」していると言ってもいいかもしれない。今の田島は、たぶん、もっと「ロックンロール」に根ざした音楽で、<官能>を表現しようとしているのではないだろうか? そうだとすれば、『東京 飛行』のような、ダサくてダメなロックこそが、今の田島にとっての「官能的な歌」なのかもしれない。

***

とまぁ、前回ならびに今回のエントリを書いて、相当にスッキリとした。発売29ヶ月目にして、ようやく『東京 飛行』というアルバムが自分の中で消化できてきたのかもしれない。(遅えよ!)

その悪戦苦闘をインデックス化したので、ここまで読んだ方はご参考までに。

東京 飛行

東京 飛行


次作への期待

そして、発展的に締めてみよう。

現時点最新作のCaocaoでも、基本的にその路線はまだ変化しないことが見て取れたし(大体からして、「個人授業」は欲望の塊の歌謡曲だし、「おっぱいバレー」は煩悩の塊の映画だ)、http://originallove.g.hatena.ne.jp/keyillusion/20090420 でも書いたが、来月の「HOT STARTER」ツアーでは、その方向がさらに突き進められたサウンドが期待できる。

先日出演のラジオでの塩谷さんとの会話からは、まだ新作のレコーディングは行われていない模様*1。ということは、次のライヴは、『ムーンストーン』前の「Trial Session」のような、新アルバムへのステップとなるようなものになるのではないだろうか。

もし、「Trial Session」と同じくらいのスケジュールで考えると、新アルバムの発売は……年末くらいか*2

もういいよ。気長に待つから、納得のいくものを作ってくれい。

「エクトプラズム、飛行」は「遊びたがり」の後奏である

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イヤホンで大音量で聴いていたら、両曲の繋ぎ目のときちょうど周りに音が無くて、気がついたこと。

遊びたがり」の最後のコーラスの後、トラック番号が変わらずにギターの音が聴こえて、微かに何かガサゴソしている音がする。そのまま音が切れることなく、ドラムを撫でる音から次の「エクトプラズム、飛行」の演奏が始まっているのだ。

遊びたがり」は「一発録り」だったのだっけ? 当時の雑誌にそんなことが書かれていたか、ちょっと思い出せないのだが、そうだとすると、「遊びたがり」と「エクトプラズム、飛行」は、そのまま繋がって演奏されていたことになるようだ。


地球独楽リプライズ」が「アポトーシス」の後奏であることには深い意味がある、ということは以前にも書いたことがあるが、ここにもなにか意味深なことがあるのかしらん?

*1:去年末のライヴ以来はじめて会ったと言っていたことと、やはり次作でも塩谷氏の参加は固いと思われるため。

*2:「Trial Session」と『ムーンストーン』の間には「9・11テロ」があって、曲作りがさらに遅れたのだが。