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バベルの塔または火星での生活 このページをアンテナに追加 RSSフィード



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2011/07/01(金)

映画から読み解く「東京 飛行」論 (SWEET SWEETさんの寄稿)

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SWEET SWEETさんからの寄稿を別エントリとしました。

お読みになったら、ぜひ感想コメントをお願いします。

* * *

予告通り、映画から読み解く「東京 飛行」論、行ってみたいと思います。


まずはじめに。

東京 飛行」についての興味深い考察や議論は、すでにkeyillusionさんのエントリの中で、充分楽しむことができます。

なので、ここでは「映画」というキーワードを元に、暇つぶしのコラム的に、自分なりの切り口で「東京 飛行」の印象をまとめてみたいと思います。もちろん長いです。


東京 飛行」発売時のインタビューのなかで、田島貴男はこのアルバムについて「ロードムービーのようなアルバムかもしれない」と答えていました。

たしかにアルバム全編を通して聴くと、ひとつの繋がった流れがあるように感じます。

映像を喚起させながら1曲ごとに舞台を変えて進んでいき、聴き終わる頃には、どこかからどこかへ移動したような感覚になります。

同じく映画的という意味では「ビッグクランチ」というアルバムもありますが、あちらがなんでもありのド派手なハリウッド感を打ち出していることに比べると、「東京 飛行」はもう少しおとなしい、モノクロのざらついたフィルムと言えるかもしれません。

もしくは、「ビッグクランチ」が全米興行収入No.1だらけのシネマコンプレックス的だとすれば、「東京 飛行」は完全に単館上映。元気なアホらしさは影を潜めています。


では何をもってロードムービーと例えたのでしょう。

ずばり言うと「ジム・ジャームッシュ」だと考えます。


ご存知ない方に説明すると、このジャームッシュという人は、ニューヨークを拠点とするインディーズの映画監督です。権力嫌いの変わり者で知られ、長いこと自分のやり方で好きなように映画を作ってきました。

おもに白黒での撮影を好み、乾いた笑いを交えながら、わりと独自のテンポで展開していくロードムービーを撮っています。

この人を一言で言い表すと、とてもセンスがいい。

アクが強いけれども押し付けがましくない、懐かしいのに新しい、良い意味で自分のペースで撮り続けている、ちょっと変わった男なんです。

ジャームッシュは無類の音楽好きとしても知られていて、映画の中の選曲も抜群ですし、自分の作品にトム・ウェイツやジョン・ルーリーなどのミュージシャンを出演させたりもしています。

ちなみにベスト盤「変身」のスペシャルエディションである「変身セット」に付属されていた「TEN YEARS AFTER」というドキュメンタリー映像は、ジャームッシュが撮った「YEAR OF THE HORSE」というニール・ヤングのドキュメンタリー映画のモロパ・・、オマージュです。

つまりドンズバなんですね。田島さんはジャームッシュが大好きなのでしょう、おそらく。

そりゃあそうです、この人の映画、めっちゃくちゃ面白いんです。田島ファンならばおそらく、洋楽ファンならなおさらアンテナに引っかかる映画監督だと思います。

パーツでいうとまずジャケ写。粗めのモノクロ写真とハット、白いセダン。この雰囲気は「ストレンジャー・ザン・パラダイス」辺りの作品にかなり近い気がします。

「デッドマン」という作品は、無実の罪で追われる身となった男が、胸に銃弾を受け命をなくしながら、死に場所を探して彷徨う物語です。「カフカの城」に登場する男も胸に穴を開けられたまま行くあてもなく彷徨います。似ていませんか(実弾は受けていないでしょうが)。


調子に乗って続けますね。「東京 飛行」のラスト、終わり方には賛否両論あるかと思います。「遊びたがり」で楽しげに終わってもよさそうなものですが、そうはならず「エクトプラズム、飛行」の不穏な空気で幕を閉じます。

これをジャームッシュ縛りで考えてみると、「ナイト・オン・ザ・プラネット」という作品に行き着きます。

5つの都市を舞台に、タクシードライバーと乗客の交流を描いたオムニバスで、各都市の特色が出ていてなかなか面白い映画です。

その中のニューヨーク編は、移民のため英語もダメ運転もダメなドライバーが、黒人の乗客に運転を代わってもらい、立場が逆転したまま噛み合わないままで目的地まで向かうという話で、移民のドライバーがなかなか馴染めない大都会での生活の中で、ほんの少し街(乗客)の温かさに触れるというエンディングを迎えます。

ところがこの物語は笑顔で乗客と別れたあと、ドライバーが街ですれ違うサイレンの光を見つめながら象徴的にフェイドアウトしていきます。とても不穏です。だけれども、ニューヨークという街をよく表しているシーンだとも言えます。流れている音楽はフリージャズ。

東京 飛行」が街の「不在感」を描こうとしたアルバムだとすれば、「エクトプラズム、飛行」で終わるという展開は、みんなが見ないようにしていた、ありのままの姿を描いた結果だったのかもしれませんね。

ジャームッシュ映画の持つモノクロ感、ドライな登場人物、ユーモアのセンスと「東京 飛行」に流れる空気感はかなり近いものを感じます。いや、このニュアンスを落としどころにしたいという、アルバムの全体像が頭の中にあったんじゃないかなあ。


以上です。貴重なスペースを使わせていただき、ありがとうございました。

東京 飛行

東京 飛行

keyillusionkeyillusion2011/07/02 17:43とても面白かったです。

一番ハッとしたところが、「エクトプラズム、飛行」の意味合いに付いて、ちゃんと説明できる視点があるんだな、というところでした。

何も知らない立場から考えていたら、あのフリージャズは、せいぜい「煩悩の音楽」の具現化、くらいの発想しかできませんでした。

実はもうちょっと具体的な意味合いがあって、「東京」という街のカオス感をアルバムに加える、つまりはアルバムにリアリティ(現実感)を与える、という重要な意味があるのですね。

ORIGINAL LOVEの過去の曲で言うと、「冗談」のラストシーンと重なるわけですね。
(そういう意味では、「冗談」は最後はフェードアウトで終わってほしかったなぁ、と今でも思うのですが、「ムーンストーン」のフェードアウトでさえ人力で行った当時の田島にはその発想はなかったのでしょうね)

「TEN YEARS AFTER」にも元ネタがあったとは。考えたらあれ、PVを除いたら唯一の映像作品ですね。

***
大衆を「映画を見る/見ない」で分類するとすれば、自分は明らかに映画を見ない人種なのですが、たぶんその人種としては珍しく、シネコン的な映画よりはミニシアター的な映画の方が好きな人間です。俳優や監督の名前がまったく頭に入ってこないので、「○○の××の最新作!」なんていわれてもまったくピンとこないので、そういうのには興味が湧きません。それよりも、作品それ自体が力を持っているような作品、鑑賞に頭を使わなければならないような映画の方が好みです。(ドキュメンタリー、とくに音楽系のドキュメンタリーが好きです)

ジャームッシュという監督は今回まったく初めて名前を聞きましたが、とても面白そうな世界を持っていそうな人ですね。機会があれば、ぜひ見てみたいと思います(探すの大変そうですが)。

SWEET SWEETSWEET SWEET2011/07/02 20:17修正及びご感想ありがとうございます。


>アルバムにリアリティ(現実感)を与える、という重要な意味

不吉なインプロビゼーション「エクトプラズム、飛行」は「東京 飛行」で描かれる架空の東京から現実の東京(というか自分の住む場所)に引き戻す役割があるのかもしれませんね。
サイレン(警鐘)を鳴らす意味でのあの幕引きでしょうね。


しかし、まるで自分の映画に対する考えを聞いているような気分です(笑)。
ジャームッシュ作品は彼のパーソナリティありきの作品ばかりです。表向き、単なる娯楽映画であり教訓を打ち出すタイプでもありません。しかし、とても深い、良い余韻を残す作品ばかりです。おそらくkeyillusionさんの好みからもそう離れてはいないはずです。

「デッドマン」という作品は、主演のジョニー・デップを「ヒット製造機」として扱っておらず、ニール・ヤングが映像を観ながら即興で音をあてた、あらゆる意味で非常に“音楽的”な映画ですので、おすすめしておきます。

インディペンデント映画人気の立役者であり、未だに好きなものだけを撮り続けながら、多くの映画好きに愛されているジャームッシュの活動は、メジャーレーベルから自主レーベルに移った田島貴男のこれからの活動の指針にもなるのでは(希望的観測)。

話が膨らみすぎてしまいそうなので、「冗談」のあの流れを断ち切るようなラストについてはまた別の機会に。

keyillusionkeyillusion2011/07/03 02:45「『冗談』のフェードアウト」というテーマは、そういえば前にも書いたことがあるな、と思っていたのですが、思い出しました。こんなことを書いていました。

http://originallove.g.hatena.ne.jp/keyillusion/20090619

このときはまったく事情を説明せずに綴ったのですが、実はこのとき、私の妻が急病になってしまい、本当に生死の境を彷徨っていたときだったのです。絶望的な「現実」に直面していたときに「冗談」を聴いて、熱に浮かされたように書いた一文なのでした。

このときはたしかに、もしこの曲がフェードアウトしていたら、「混沌」に飲み込まれて、本当に精神的にダメージを受けてしまっていたかもしれません。

今、妻はすっかり元気になっています(今頃『白熱』を遅ればせながら聴いているはずです)。だから今はまた「やっぱりフェードアウトしていれば…」と思うわけです。喉元過ぎればなんとやら、ってやつですね。

SWEET SWEETSWEET SWEET2011/07/03 16:04上記の「冗談」についてのエントリから「ムーンストーン」のレビューまで辿って読ませていただきました。褒めてばかりですが、やはり素晴らしい、抜群に。これを読んでいるみなさんもぜひもう一度。読んでいると確実に聴き返したくなりますもんね。

思い出とその頃よく聴いていた音楽は、深く結びついてしまいますね。
定期的にリリースされていた頃のオリジナル・ラブのアルバムは自分にとっての年表替わりだったりします。

人生の一大事にさえ頭の片隅に流れていたのですね。
そのお話だけで「ムーンストーン」の素晴らしさが伝わるというものです。

keyillusionkeyillusion2011/07/12 01:13SWEET SWEET 2011/07/11

ご報告です。

「白熱」を聴きました。
keyillusionさんのいま現在の「白熱」評はいかなるものでしょうか。ファーストインプレッション以降の手応えが気になっています。

昨日から繰り返し聴いている自分の感想。このアルバムはみんなのもの。夏が来る前に聴くことができて本当によかった。

keyillusionkeyillusion2011/07/21 15:17>SWEET SWEETさん
rararapocariさんがようやくアルバムを手に入れたようなので:-)、そろそろ新しい感想をまとめたいと思っています。27日の発売前には1度まとめたいですね。

聴きこむほどに魅力的なアルバムです。一言で言うと、「オレはこんなアルバムを待っていたんだ!」という感じです。夏の前に出たのは、本当に嬉しいですね。やっぱりORIGINAL LOVEは夏のバンドだと思います(アルバム自体は春の設定のようですが)。