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バベルの塔または火星での生活 このページをアンテナに追加 RSSフィード

IDを変え、引越しました。 現在は https://originallove.g.hatena.ne.jp/keyillusion/ です。

2007/01/20 (土)

[][]「東京 飛行」感想 その2~「ニガテなあたりの曲」たちについて 「東京 飛行」感想 その2~「ニガテなあたりの曲」たちについて - バベルの塔または火星での生活 のブックマークコメント

東京 飛行

東京 飛行』の歌詞世界が独特のものであることは、こちらでコメントをいただいてきた中で、なんとなくわかってきた。じゃあそう言われたからといって、歌詞を精読しながら聴いて、「これはすばらしい!」と掌を返すようでは、この1ヶ月の七転八倒になんの価値がある?

自分は何をこんなに『東京 飛行』が気に食わないのか。それを書き留めておくことも、それなりに意義があることと勝手に信じて、以下の3曲について語ってみる。

例によって、また辛辣に書いています。でもこれを書かないと、自分の中で次の話に進めないので、一気に吐き出させてもらいます。はい、調子に乗ってます。あらかじめ謝っておきます。

 ***

何度か聴いてハッキリしてきたが、この3曲こそが、このアルバムの悪印象の「元凶」である。

共通するのは、ギターの曲であるということ。このアルバムのレコーディングの前に、田島は新しいギターと出会い、そのギターによってこの3曲は作られている。『bridge』2007年2月号のインタヴューによれば、

「『お前、悪いやつだな』といういい音がするの」

と言っているほど、田島はこのギターが気に入ったそうなのだが、ハッキリ言って、そのギターの音色に寄りかかりすぎたのではないか。田島はここで逆説的に「悪い音がする」と言っているのだけど、自分には文字通りの意味に聞こえてしまう。プロになる前のような、本当に「素」すぎる状態にまで戻ってはいないか。かき鳴らしているだけで満足してしまって、音楽自体にキラメキがなくなってはいないか。

同じインタヴューの中で、「明日の神話」について田島はこう語っている。

「(普通であれば)歌謡ロックになっちゃうんだけど、絶対に下世話にはしないっていう判断がある」

たしかに「明日の神話」についてなら、この言葉は納得できる。しかし、問題の3曲にこの言葉を当てはめたとき、その「判断」は見事に失敗してしまっていると思う。あれらは、下世話だし、歌謡ロックになっている。また同時に、田島は「ロック=グルーヴ」と言っているけれど、悪いのだがこの3曲にはちっともそんなものを感じない。あれらには、自分の中の「ロックな心」に疼くものがなにもない。ふーん、それがなにか?といった感じで曲が流れていく。

なんでダメかって、ダサすぎる。これが、ベタベタさ加減を逆手に取ったユーモア感のある曲ならば、いつものように(「ダブルバーガー」とか「ふられた気持ち」とか)笑って気に入っていただろう。けれどもここには、そういうパロディとか「遊び」の部分があるように感じられない。というか、田島は、間違いなく必死で本気なのだ。本人がそうしてマジメにやっているだけに、それなのにこちらに共感する部分がまったくないだけに、ダサダサにしか聞こえない。

これがORIGINAL LOVEの曲でなければ、箸にも棒にもかからずに聞き流している曲だ。ORIGINAL LOVEでなくても、だれかが書きそうな曲だと思う。言い方を変えれば「なんでもないポップス」。

「なんでもないポップス」、それを田島自身が目標としているということは、もちろんよく理解している。しかも、激しく期待してさえいる。それなのに、これらの曲がなぜそれでダメなのかといえば、ここには「プラスアルファ」がないからだ。要は、田島貴男の音楽を聞く喜びというものが、これらの曲からは感じられない。田島独特のキラメキというか、「やっぱコレだよ!」と膝を打ってしまうような充実感・幸福感。

逆に言えば、今までの曲にはそれらがあったから、自分は他には目もくれずにORIGINAL LOVEを聴いてきたのに。

***

という感じで、どうダメかということを滔々と述べてみたものの、最終的には理屈ではないのだ。とにかく、この3曲は何度か聴いてもダメでなんである。展開部などにときめくことはあっても、おしなべてサビがなんかダメなんだよなぁ。

そして、この3曲がアルバムの中で鍵となって散りばめられているだけに、このアルバム全体も受け入れることが難しい。「ジェンダー」と「オセロ」も、まだマイナスの印象の方が強いのだが、それはまた次の機会に。

補足

「プラスアルファ」をもう少し具体的に書いてみる。

この3曲、普通に「手癖」で書いたような気がするのだ。

例えば、「来週、新人バンドのプレゼンで新曲が必要なんだ。君の名前は伏せておくから、適当になんかとりあえず3曲くらい書いて」というようなシチュエーションがあったとしたら*1田島はこのくらいの曲を書きそうな気がするのだ。バカにしているのではない。彼は、「R&R」を5分で書けるような男なのだ*2

なんというか、自分に合ったギターを手にしたことによって、ホイホイと曲を書いただけのような気がしてならない。いつもなら、そこからの「プラスアルファ」があるはずなのだが、なぜかこの3曲には展開部にわずかな工夫があるだけ。サビのヒドさ(よく言えばストレートさ)と言ったら、本当にやる気あるの?と問い糺したいくらい。

さらに別にも、これらの曲が気に食わない点がある。というのは、次のツアーでは、この3曲のアレンジはきっと変わらない気がするのだ。つまり、何か違う曲に発展する可能性を感じられない。「キラメキ」とか「これだよ!」と書いた充実感ってのは、そこに由来しているわけなのだが。

もちろん、これらの曲に田島が実際どのくらい気合を込めたのかなんてことは、一介のファンには「妄想」することしかできない。上に書いてきたことは、全然的外れなのかもしれないけれど、少なくとも今の自分にはこのように聞こえてならないのだ。(むしろ「的外れでした、ごめんなさい」と悔い改める日のために、今書けることから書いてみてたりして)

このあと、「ジェンダー」と「オセロ」について一くさり書いたら、ネガティヴなことは封印するつもりです。

*1:そんなのあるかどうかは知らない。

*2:「R&R」が歌詞を40回書き直した曲であることはもちろん知っている。これらの曲に関しても、歌詞についての評価は別にする。