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バベルの塔または火星での生活 このページをアンテナに追加 RSSフィード

IDを変え、引越しました。 現在は https://originallove.g.hatena.ne.jp/keyillusion/ です。

2007/03/14 (水)

[][] 今こそ『キングスロード』を聴き返す  今こそ『キングスロード』を聴き返す - バベルの塔または火星での生活 のブックマークコメント

キングスロード

キングスロード

『キングスロード』の再評価」のあたりでも予告していた、歌詞の比較論。*1

発売当時にはなかったが、今は手にしているもの。ナップスターという強力なツール。オリジナル曲を全部引っ張ってきて、アルバムの収録順に並べて聴き返すことなど、お茶の子サイサイ。血眼になって中古CD屋を巡った1年前が遠い昔のようだ。(…まぁ、そのおかげで、そうでもなければ買わなかったようなアルバムが手元に増えてよかったのだけど。)

ここでは、歌詞のことだけをダラダラ書くだけにするつもりだった。のだが、ミュージシャン方面のウンチクの頼みの綱にするつもりだった「MaxMuse」という音楽配信サイトに載っていた詳細レビュー(http://originallove.g.hatena.ne.jp/originalovebeer/20060201/p2参照)が、なんと無くなってしまっていた! 調べると、2007年1月12日でサービスを終了してしまったものらしい。ああ保存しておけばよかった…。

と、嘆いても始まらないので、少しクドイかもしれないが、独力で調べてまとめあげたミュージシャンについての情報も、併せて載せておく。

[補筆]「MaxMuseの詳細レビュー」は、yokoさんのおかげで、グーグルのキャッシュに残っていることが判明しました。

なお、前回までの『キングスロード』の感想はこちら

以下、案外長いので御注意。


1.ヒット曲が聞こえる (IT'S THE SAME OLD SONG / Four Tops )

オリジナル曲について

Reach Out『Reach Out』

フォー・トップスは、モータウンを代表する男性コーラスグループ(カルテット)。メンバーの内、一人が他界して「The Tops」として活動していたが、2005年07月にはリナルド・ベンスンも他界した。

'IT'S THE SAME OLD SONG'は、1965年のシングル。ポップ・チャート、R&Bチャートともにトップになったフォー・トップスを代表するヒット曲。Holland-Dozier-Hollandによる曲。

調べていて、ストーンズファンとして興味深い分析があったので引用。

出だしのマリンバが、ストーンズの"Under My Thumb"のスタジオ・ヴァージョンとそっくりなのですが、この曲が出たのは1965年。

"Under My Thumb"を収録しているアルバム"Aftermath"のレコーディングをストーンズがRCAスタジオで行っていたのは、65年12月3~8日と66年3月3~8日なので、もしかしたら、ブライアン・ジョーンズもこの曲を聴いて、マリンバを使おうと考えたのかもしれませんね。

フォー・トップス
原詞

http://www.stlyrics.com/lyrics/thebigchill/itsthesameoldsong.htm

田島の訳詞・アレンジ

キーは低めだが、明るさは損ねていない。

「ヒット曲」というフレーズは原詞にはない。原曲は「同じ懐かしい歌でも、君がいなければ、違って聞こえるんだ」という内容である。田島は、「ヒット曲が聞こえる」という邦題を意識してその言葉をキーワードに選んだようだ。

最後のリフレインは、原曲では同じ歌詞が続くだけだが、田島は歌詞を変えて、そこまでで訳しきれない世界を補っている。この辺はテクニックだね。

ただ、「Saying together forever Breaking up never」を訳し切れていない。ブリッジの部分なので、そこまで気力が持たなかったのか、いいアイデアが浮かばなかったのか。

過去記事にも書いたが、この訳詞で素晴らしいと思うのは、冒頭のフレーズ。「蜂のように刺して去った」のところ。明るい「ハ」の音でアルバムをスタートさせて、すぐに「サ」で韻を踏んでいる訳は、見事という他ない。(原曲の意味を損ねずに、というのは誉め言葉として使えない。なぜなら、それはアルバム全体のテーマだから)

2.恋の片道切符 (ONE WAY TICKET / Neil Sedaka

ベスト・オブ・ニール・セダカ『Best of Neil Sedaka

オリジナル曲について

'One Way Ticket To The Blues'というのが正しいタイトルのようだ。唯一の50年代の作品で、1959年のシングル。ニール・セダカは、ポール・アンカと並んで称される「オールディーズ」の第1人者。御齢68歳("昨日"が誕生日!)。

日本では、音羽たかしの訳詞により、平尾昌晃がヒットさせている。日本人心をくすぐる演歌的なメロディが、ヒットの要因でもあったようだ。

原詞

http://www.lyricsdownload.com/neil-sedaka-one-way-ticket-to-the-blues-lyrics.html

田島の訳詞・アレンジ

直感的にスカアレンジが閃いたそうで、東京スカパラダイスオーケストラを呼んで本格的にアレンジしている。シングルにもなったこの曲でスカパラの名義がないのは、「めくれたオレンジ」への御礼であるようだ。

この曲には訳されていない英語が多い。例えば、「Bye Bye Love」(エヴァリー・ブラザーズ)「Lonesome Town」(リッキー・ネルソン)「Heartbreak Hotel」(エルヴィス・プレスリー)など。それらは、そもそも元の曲が当時の全米ヒット曲のタイトルを織り込んだもののため(それぞれカッコ内がミュージシャン)。逆に田島は、そこをわかって訳しているわけだ。

他にも、「Lonely Teardrop」(ジャッキー・ウィルソン)、「A Fool Such As I」(エルヴィス・プレスリー)というのもあるのだが、前者は「小雨はじく窓が頬に冷たい」と訳し、後者は巧妙に訳を避けている(「もぐりこむベッドで」のところ)。

また田島は、音羽たかしの先駆を使いまわしていたりもする。サビ&タイトルの「恋の片道切符」はもちろんなのだが、「ただただ涙」のところなどは、音羽訳をそのまま使っている。*2

'Choo Choo Train'とは、ZOOやEXILEのアレではなく、choo choo が「しゅっぽ、しゅっぽ」の英語の擬態語なのだそうだ。実際この曲、キャロル・キングの「ロコモーション」と並んで、機関車の情感が溢れた素敵な1曲である。


3.タッチ・ミー (TOUCH ME / The Doors)

The Soft Parade『Soft Parade』

オリジナル曲について

ドアーズは、1960年代後半に活躍したロックバンド。1966年、『The Doors』により颯爽とロック界に現れ、ヴォーカル、ジム・モリソンのカリスマ性と1971年7月3日の謎の急死により、伝説のバンドとなった…が、実はその後ジム抜きで2枚のアルバムを出したのは案外有名な話(それらがほとんど無視されていることも含めて)。

なお、デビュー時にベースがいなかったのはオリジナル・ラヴと一緒(笑)。ただし、オリジナル・ラヴは井上トミオがサポートしていたが、ドアーズはギターとオルガンが代用していて、本当に存在していなかった。1969年発表、ということはほとんど後期のこの曲では、すでにサポートメンバーが入っているのか、ちゃんとベースが聞こえる。

この曲は、ドアーズのシングルでもヒットした方の曲で、今でもFMラジオではよくかかる曲だ。アルバム『Soft Parade』に収録されるが、そっちのアルバムは自分も聴いたことがない、というくらい地味なアルバム。

1991年、オリヴァー・ストーンという有名な映画監督の手により、伝記映画も作られた。というか、自分が最初にドアーズを知ったのは、実はこの映画を観に連れて行かれたこと(音楽的な師匠に当たる友人に)からだった。江戸川乱歩みたいに10年周期で再評価されるのだそうだ。

ドアーズ [DVD]

ちなみに、このアルバム製作中の田島の一言。

──では、もうすこし時間に余裕のある方に、
さらにあと数枚、番長の推薦CDを。
田島  うーん。
いま、オレの好きな音楽、ということでもいい?


──はい、どうぞ。
田島  じゃ、ドアーズかな。
ドアーズのファーストアルバム
「ドアーズ」がいいよ。

ほぼ日刊イトイ新聞 - 田島貴男のオレのニュース。

田島の威を借りるわけではないが、『The Doors』はマジおすすめである。「どれか1枚」というなら、ぜひこれ。

ハートに火をつけて

原詞

http://www.lyricsfreak.com/d/doors/touch+me_20042756.html

田島の訳詞・アレンジ

「青い鳥」に次いで原曲に忠実なアレンジ。ホーンセクション、ストリングスなど、ほぼ完コピ。イントロの「ワオ!」もちゃんとやってる(強いて言えば、オリジナルではエンディングになにか呟いているのだが、それを再現していないくらい)。

とりわけ、冒頭の「カモンカモンカモン」は、本家ジムも真っ青の迫力だ(笑)。ロック界指折りの低音系のヴォーカリストを、J-POP界随一の低音系である田島貴男がこの曲をカヴァーすると知ったときはゾクゾクしたものだが、実際に聞いてみたらその誇張具合に爆笑してしまった(失礼)。

「I'm gonna love you」が「あーいしつづける」と、韻を考えているのは見事なところ。「You and I」が「ふたりで」とシンプルなのも◎。この訳はラクだったのかもしれないが、シンプルだけに訳詞の出来も見事と思う。

4.きみのとりこ (YOU'VE REALLY GOT A HOLD ON ME / Smokey Robinson & The Miracles)

Early Classics『Early Classics』

オリジナル曲について

スモーキー・ロビンソンは、もともと「ミラクルズ」の名前で1959年にデビューした。モータウンの契約第1号アーティストである。1961年からは、スモーキー自身がモータウンの副社長となる。1曲目のフォー・トップスや、ザ・テンプテーションなどにも曲を提供し、名実共にモータウンの看板ミュージシャンであった。

ミラクルズは1965年にスモーキー・ロビンソン&ミラクルズと改名…ということは、1962年発表のこの曲は、本来は「ミラクルズ」名義の曲である。しかし、スモーキー・ロビンソンの活躍から考えて、ミラクルズといえば彼の名前を出さざるを得ないようである。

どうでもいいのだが、YOSHII ROBINSONは、やっぱり彼の名前から取ったのであろうか?

原詞

http://www.links2love.com/love_lyrics_355.htm

田島の訳詞・アレンジ

スモーキー・ロビンソンの最大の魅力は、なんといってもその癒し声である。ダレがなんと言おうと、この曲の田島は、ガナリ声でその魅力をぶち壊している。そのぶち壊しが、創造のための破壊なのかどうかは、さておき。

「I don't like you but I need you」を「君を嫌いになりたいよ」と訳したあたりは、田島も自画自賛していたのだが、実際、見事な訳である。元の歌詞がシンプルなだけに、田島の訳詞が光る曲である。題名をはじめ、歌詞カードでもほとんど「ひらがな」が多用されているのも、そのシンプルさの表現なのだろう。

なお「きみのとりこ」は、ビートルズにもそういう曲があるらしい。らしい、というのは、それを聴いたことがないので。

[補筆]

yokoさんにコメント欄でフォローいただいたが、この曲は The Beatles の 'YOU'VE REALLY GOT A HOLD ON ME'(アルバム"With the Beatles")のカヴァーである。ビートルズは翻訳の許可が一切下りなかったので、ビートルズがカヴァーした曲をカヴァーした、と田島本人がライヴで言っていた。

With the Beatles

5.さよなら ルビーチューズデイ (RUBY TUESDAY / The Rolling Stones)

Between the Buttons『Between the Button』

オリジナル曲について

ザ・ローリング・ストーンズは、1963年デビューの、ロック界最古のバンドのひとつ。ヴォーカルのミック・ジャガーは、日本語でも洒落にもなるくらい有名(…肉じゃが)で、ギターのキース・リチャーズも、音楽好きならば名前は聞いたことがあるだろう*3

しかし、このバンドのなりそめは、ブライアン・ジョーンズという男が「ブルースのカバーバンドをやろうぜ!」と言ったことにあった。彼がそもそもバンドのリーダーだったのだ。だがその後、ジャガー/リチャーズの2人がプロデューサーに首根っこを掴まれてオリジナル曲を作るようになり、それが「サティスファクション」などで成功を収めると、ブライアンはだんだん居場所がなくなってしまい、ドラック浸りの日々となってしまう。そしてついに1969年バンドを脱退。しかしその数日後の7月3日(ジム・モリソンと同じ日付!)、謎の死を遂げてしまった。

「ルビー・チューズデイ」は、そのブライアンの曲(クレジットはJagger and Richards)で、1967年にシングルで発売された(なお、B面は「夜をぶっとばせ」こと'Let's Spent the Night Together')。ブライアンが弾くメロトロンが哀しくも優しく響く1曲。ストーンズを代表する名バラードである。

原詞

http://www.lyricsfreak.com/r/rolling+stones/ruby+tuesday_20117876.html

http://yokohama.cool.ne.jp/iw7glitterz/ruby_tuesday.html

田島の訳詞・アレンジ

その「名バラード」に、挑戦的なくらいの無骨なアレンジ。オリジナルは、先のメロトロンやらフルートやらが入っていて、ミック・ジャガーのサル顔が信じられないくらい、もっと美しく優しく柔らかく、胸が切なくなる曲だ。こんなに暗い感じはしないんだけど、オリジナルはメジャーコードで、この曲はマイナーコードに変えている??(聴ける耳がないので断定できませんが)。もし、この曲に「ニヒルでかっこいいねぇ」とだけ思っている人がいたら、ぜひオリジナルを聴いていただきたい!

てなわけで、個人的には大嫌いなアレンジなのだが、訳詞は悔しいが素晴らしい。ミックのインテリさもちゃんと滲ませているし(「人生は無常かい?」のあたりとか)。「who could hang a name on you」が「みんな分からないのさ」というあたりは、「名前」という訳詞が出なかった時点で驚いたが、本当に上手いなぁと思った。逃げ方、というか、ちゃんと歌に乗せる歌詞を作るという点で、ここは苦労したろうな、と思った。

そういえば、なんでルビーの火曜日なんだろう?と調べてみたが、よくわからなかった(ファンなんてそんなもんです)。その代わり、「"ミック・ジャガー、歌詞を度忘れ「ルビーなんだっけ?」"」という面白い記事を見つけた。

「ルビー」が女の子の名前なのは、たぶん確か。初来日のとき、2体の女性形の巨大バルーンが膨らむ仕掛けをしていたのだが、片っぽが「アンジー」ちゃんで、もう一方が「ルビー」ちゃんだったから。


で、またまた、『キングスロード』製作中の田島の一言。

ストーンズは、好きだね。
肩の力を抜いて聴けるからな。
よく聴くと、歌詞が意外といいのよ。
ミック・ジャガーって文学青年でしょ。
過剰に文学的すぎて匂うときもあるんだけど、
ストーンズがストーンズらしくなったあとの歌詞は

すごくかっこいいんだよ。
RUBY TUESDAY」は、悲しくていいかんじだし

ほぼ日刊イトイ新聞 - 田島貴男のオレのニュース。

6.ダウンタウン (DOWN TOWN / Petula Clark)

(1964年)

Downtown: Best of『Down Town』

オリジナル曲について

1942年デビュー。1958年からフランスでも活動を始め、ヨーロッパ全体で評価を得る。1964年発表のこの「ダウンタウン」で全米に進出、イギリス人女性として初めてビルボートチャートNo1を獲得した。

この曲も、「イギリスのバカラック」と呼ばれたトニー・ハッチの手によるものであり、全盛期はビートルズとチャート争いをした数少ない女性歌手の一人であった。(って、これは、はてなキーワードからのパクリです)

原詞

http://www2.uol.com.br/cante/lyrics/Petula_Clark_-_Downtown.htm

田島の訳詞・アレンジ

キーが高くなっている。だから、田島の低い声でも、元曲の可愛らしさを損なうことがなくなっている。このアレンジは大好き。

訳も、端々に苦労の後が窺える、なかなかの労作。

「Just listen to the music Of the traffic in the city」が「車の往来が奏でるミュージック」とは、元曲に負けずに詩的だねえ。

「夜もやってみる店少しならわかるよ」が「Maybe you know some little places to go to where they never close...」となっているのだが、開いてる店を知っているのは原曲では向こうの方なのかな?(英語よくわからん)

「And you may find somebody kind To help and understand you, someone who is just like you And needs a gentle hand To guide them along. 」が「今夜誰かに出会うかもしれない 助けを必要としてる人 そう あなたに」。日本語の簡約の良さが伝わるいい訳だ。

続く「So Maybe...」が「それじゃ」なのも洒落ている。

「ブラジルのリズム」とは、原曲によればボサノヴァのことであるらしい。てっきりサンバだと思っていた。だいぶ印象が違うな。

それと、調べているうちに見つけた、ちょっとしたウンチク。

(坂本九の「上をむいて歩こう」を)「スキヤキ」と名づけたのは、往年の人気歌手Petura Clarkなんですってね。ふたりがロンドンの中国料理店で食事をしたとき、Kennyが「こんど日本の曲を吹込むことになった。」というと、Peturaが即座に「スキヤキ」というタイトルを提案してくれたんだそうです。Peturaの大ヒット「Down Town」は1964年ですから、多分それ以前の話でしょう。

安倍 寧 Offical Web Site: 2005年08月 アーカイブ

7.青い鳥 (BLUEBIRD / Leon Russell)

Will O' the Wisp『Will O'the Wisp』

オリジナル曲について

この『キングスロード』の中で、唯一シングル初出ではない曲、かつ唯一の70年代の曲。1975年のアルバム『ウィル・オ・ザ・ウスプ』(「鬼火」という意味)の中の1曲。

レオン・ラッセルは、ロックというか、ブルースというか、R&Bというか、ソウルというか、どこに括ったらいいのかよくわからなくなる人だ。

1970年の「ソング・フォー・ユー」が最も有名な曲なのは間違いなく、カーペンターズやダニー・ハサウエイなど多くの伝説的なミュージシャンにカヴァーされている。

原詞

http://www.lyricsdownload.com/leon-russell-blue-bird-lyrics.html

田島の訳詞・アレンジ

この「ブルーバード」を田島がカヴァーした理由は、http://originallove.g.hatena.ne.jp/originalovebeer/20051129/p2でも引用したとおりで、10年以上前からの念願だったようだ(個人的には「ブルーバード」という新曲も聴きたかったけどね)。

このアルバムの中でも一番忠実なカヴァー。強いて違う点を探せば、微妙なテンポと、中間のコーラスの節回しと、安っぽいシンセサイザーがないことと…と、本当に些細なことしかない。オリジナル・ラヴの新曲だと言っても誰も気づかないだろう、というレヴェルにまで達している。

この曲の訳については、シングル発売時にかつて書いたことがあるので、以下参照。

http://originallove.g.hatena.ne.jp/originalovebeer/20051203/p1

↑の「蓋を開けてみるとそれが一番よかった…というのは結構よくあるパターンだったりもするから」…って、当たってるじゃん(笑)。幸いだったのは、そのレヴェルがこの1曲だけじゃなかったということかな。

ああ、ひとつだけ書き忘れていたことが。「I'm out in the rain」を「雨を浴びながら」と訳しているところは、ゾクゾクする。このアルバムの訳のなかで、一番ハマったところだと思う。

8.Be My Baby (The Ronettes)

THE BEST OF THE RONETTES『Best of The Ronetts』

オリジナル曲について

ロネッツは、1958年結成。フィル・スペクターに見出され、1963年のこの曲が最大のヒットとなる。

原詞

http://www.metrolyrics.com/lyrics/42259/The_Ronettes/Be_My_Baby

田島の訳詞・アレンジ

今作唯一の日本語訳なしカヴァー。訳自体は完成したのだが、フィル・スペクターが服役中で、その関係で許可が下りなかったとかなんとか(本当か?)。上の日本語版の中古盤が廃盤になっているのは本当で、見つけた店では数千円していた。もし、ブックオフで安く売られていたら買いかも。

この曲には、「あたしのベビー」という邦題が付いていた。しかし、ライヴでのみ披露された日本語訳版では、サビの部分は「Be My Baby」のままで、他の曲のようには使われなかった。*4


9.青年は荒野をめざす (ザ・フォーク・クルセダーズ)

ザ・フォーク・クルセダーズ ゴールデン☆ベスト『ゴールデン☆ベスト』

オリジナル曲について

ザ・フォーク・クルセダーズは、加藤和彦、北山修を中心に1965年に結成されたグループ。1967~8年の1年間しかプロ活動をしていない。「帰ってきたヨッパライ」は、オリコン誌上初のミリオンヒット。1968年のこの曲は、グループ最後のシングルで、グループ解散"後"に発売されている。五木寛之作詞。


原詞

http://www.fk.urban.ne.jp/home/kazuaki3/utagoe-73.htm

(注:音が出ます)

田島の訳詞・アレンジ

今作唯一の日本語曲カヴァー。

イントロは、原曲ではしずしずとしたフォーク風のギターで始まっているところを、オリジナルの要素が強いピアノのアレンジに変えて、力強い印象を与えている。その分、「1番」の後のリズムが早くなる展開部は、原曲よりもインパクトが薄まっている。

なぜフォークルをカヴァーしたのか、明快な理由はどこかで語っていたっけ? 「僕はやっぱり洋楽の人」とか言っていたような気もしたが…。


10.エミリーはプレイガール (EMILY SEE PLAY / Pink Floyd)

ECHOES THE BEST OF PINK F『Echoes』

オリジナル曲について

ピンク・フロイドは、1967年デビュー。この曲は「アーノルド・レーン」に続く2枚目のシングル。これがベスト10ヒットを記録し、続いて出された1stアルバム『夜明けの口笛吹き』がサイケデリックロックの先鋭として高く評価される。(アルバムには収録されず、2種類のベスト盤に収録されている。ここでは完成度の高い『Echoes』を紹介。)

この曲の作曲者でありバンドの中心人物のシド・バレッドは、ドラッグを原因に精神を病んでしまい、セカンドアルバム製作中にバンドを脱退する。突然リーダーを失ったバンドは、サブリーダー的存在だったロジャー・ウォーターズを新たな中心として、その危機を乗り越えていくのであった…。2007年現在、活動休止状態。

原詞

http://www.azlyrics.com/lyrics/pinkfloyd/seeemilyplay.html

田島の訳詞・アレンジ

この曲で田島は、ピンク・フロイドをカヴァーしたというよりは、「狂ったダイアモンド」ことシド・バレットをカヴァーしたかったのではないか。なぜなら、フロイドは聴いたことがあっても、こんなシングル曲までは知らなかったという自分のようなハンパ者は多いだろうし、少なくとも、一般的な「フロイド」のイメージからは遠い曲だ。1stアルバムにさえ入っていない曲なのである。この曲への田島のコメントも、ピンク・フロイドについてではなく、シド・バレットへ対しての内容ばかりだった。

なお、デヴィッド・ボウイも『ピンナップス』でカヴァーしていて、ギターのアレンジなどはそちらを参考にしているようだ。ピンナップス

イントロの、田島自身によるダルシマーは格好よすぎるが、これはオリジナルどおりではない。オリジナルを超えたいいアレンジだ。

逆に、途中の早回しのような幻惑的なシンセの音は、実は非常に忠実なオリジナルのカヴァー。デヴィット・ボウイも、ここは別のアレンジで誤魔化している。ここをはじめて聴いたときは、(先にフロイドは予習したので)あまりの見事さに爆笑してしまった。

シングル発売当時に付けられた「エミリーはプレイガール」という邦題は、よく物笑いの種にもなる「迷訳」なのだが、田島はそこを逆手にとってサビでそのまま歌っている。そのまま歌いたかったのらしい。

***

さて、ピンク・フロイドはその後、『原子心母』『狂気』などをはじめとして、「プログレ」の代表的バンドとして大成功を収める。ちなみに、「プログレッシヴ・ロック」と命名した人物は、『風の歌を聴け』までのエグゼグティヴ・プロデューサー石坂敬一氏であった。1970年『原子心母』のLPの帯にそう書いたのが嚆矢とされる。

シド・バレットは、バンドを脱退はしたものの、ジム・モリソンやブライアン・ジョーンズのように死んでしまうことはなかった。メンバーにさえ消息不明のまま隠遁して生き続けた。イギリスのどこかで、ギター教室を開いていたという話もあったそうだ。

バンドは、常にシドの幻影に纏われながら活動を続けていった。『狂気』で大成功を収めた後の1975年、『あなたがここにいてほしい』というアルバムを出す。「あなた」とは、シドのことであり、このアルバムのレコーディング中に突如スタジオに現れ、メンバーを驚愕させたという逸話もある。このアルバムのメイン曲「狂ったダイアモンド」とはシドのことであり、タイトルチューン「あなたがここにいてほしい」は、胸が狂おしくなるほどの切ないブルースナンバー。

炎?あなたがここにいてほしい?

シドは、去年2006年7月、60歳で逝去した。

その他のカヴァー曲

権利の関係などでボツになったカヴァー曲がいくつかある。わかっている分をまとめておく。

最終的に切った曲
  • The Doors 'Break on throgh'(半分くらい訳した)
許可が下りなかった曲
候補には上がったがやめた曲

*1:タイトルはasin:406149001Xのパクリ。

*2:他にもあったような気がするが、カラオケで歌ったのを覚えているだけなので…。

*3:もちろん個人的には、鼻血が出るくらい大好きなギタリストのひとり

*4http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20060315#BMB参照

yokoyoko2007/03/15 04:31Beatlesの「You've really got a hold on me」を聴いてください!『With the Beatles』に入ってます。
キングスロードツアーの際に、ビートルズの曲をやりたかったけど許可が下りなかったので、ビートルズがカバーした曲をやった、というようなことを言っていました。おそらく「きみのとりこ」はビートルズ版のほうのカバーだと思います(文章になったものがみつからないので説得力ないのですが)。田島版は、ビートルズ版のやるせないだる~い感じが良く出てます。

originalovebeeroriginalovebeer2007/03/16 00:49そうでした、すっかり忘れていました。フォローありがとうございます。早速補足しました。
…実はビートルズは、「遡って聴く」というアホなルールを作ってしまったために、『レット・イット・ビー』から聴き始めて、未だに『ラバー・ソウル』以前を聞いてません。「赤盤」は聴いているので、話的にもそんなに困らないのをいいことに(苦笑)。
つーか、ビートルズ、もっと安く売ってくれよ!(yokoさんに言ってるのではありません)

yokoyoko2007/03/16 06:51そうなんですよ!実は私もビートルズのCDを買いなおし中なのですが、なかなか全部集まらないです(高校の時に全アルバムエアチェックしたテープをまだ持ってます)。初期はすごくいいですから、これを機会にどうぞ!(しつこい)。

originalovebeeroriginalovebeer2007/03/16 08:28>これを機会にどうぞ!(しつこい)
いえいえ、常にそう思っています。レンタルでもなんでも、とにかく聞いてみたいと思っています。

rockcandyrockcandy2007/03/17 07:01MaXMuseの詳細レビュー、消えちゃったんですね。・・・ショック!あれは素晴らしかったですよね。あれ書いたライターさんは絶対オリジナル・ラヴファンだと思いました。
「キングスロード」発売前、原曲をアルバム通りの曲順に並べた原曲版「キングスロード」を作って予習する、という事を思いつき、レンタル屋をはしごして集めたのはいいけど簡単に見つかりそうだった The RonettesのBe My Baby だけが見つからず、(懐かしのヒット曲大全集みたいなのでもいいと思って探したのにそれでも見つからず)中古屋に問い合わせしまくってやっと手に入れたのでした。(日本語盤では無いです。)
今思えば楽しい作業だったかも。
それで「YOU'VE REALLY GOT A HOLD ON ME」はスモーキー・ロビンソンのにしていて、ライブ後にビートルズバージョンを聴いて“こっちじゃん!”と思ったのでした。(ビートルズは以前、赤盤青盤を除く全16枚が入った木箱入りBOXを大人買いしていたのに、まだじっくり聴けていないのです。)思わず笑っちゃうくらい田島歌唱はビートルズバージョンですよ。
それにしても自ら翻訳してカバーするのがテーマになっているこのアルバムで、訳詞許可が下りなかった「Be My Baby 」と元々邦楽の「青年は荒野をめざす」を敢えて入れた理由は何なんだろうと思ってその頃インタビュー記事一生懸命読んだけど解りませんでした。
他にもたくさん訳したのだろうし、いくらでも差し替えが利きそうなのに。

yokoyoko2007/03/18 07:54MaxMuseの詳細レビュー、まだかろうじてgoogleのキャッシュは残っているようです。「森昌彦 maxmuse」でぐぐるとでてきます。文章だけでも読みたい方は、キャッシュで見てみてください。
音楽コンテンツがどんどんなくなっちゃうのは寂しいですね。

originalovebeeroriginalovebeer2007/03/20 00:46>rockcandyさん
BOX持ってるのに、もったいない(笑)。
「予習」は、自分もとてもいい経験になりました。今ではオリジナルを聴いても田島のカヴァーに引きずられてしまいますので、それを知らない耳で聞けたのは良かったです。

>他にもたくさん訳したのだろうし、いくらでも差し替えが利きそうなのに。
やっぱりどこにも理由書いてなかったですよね? 結局なんで収録したんだろう??

originalovebeeroriginalovebeer2007/03/20 00:51>yokoさん
ありがとうございます! どうにかしてキャッシュが引っかからないかと試したのですが、ダメだったのです。よく、ライターさんの名前覚えてましたね?
改めて読み返して、自分の解説も案外イイ線行っているかもネと思いました(笑)。というか、結構ネタ元がいっしょかも。