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バベルの塔または火星での生活 このページをアンテナに追加 RSSフィード



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オリジナル・ラブに特化したブログです。最新情報から個人的な雑感まで。
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情報の内容に関しては良心に基づき正確を期しますが、一切の保証はいたしかねます。各自での再確認を切にお願いいたします。

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2008/08/07(木)

夏に『東京 飛行』

| 夏に『東京 飛行』 - バベルの塔または火星での生活 を含むブックマーク 夏に『東京 飛行』 - バベルの塔または火星での生活 のブックマークコメント

EMI時代からのファンなら納得してもらえると思うが、オリジナル・ラヴは夏のバンド、だった。『EYES』『風の歌を聴け』の熱はそこに由来しているし、「接吻」が出たときには山下達郎が「クリスマス・イヴ」を出したような季節外れ感を感じたろうし、『ビッグクランチ』が出たときには久しぶりの真夏のアルバムであることに快哉を叫んだはずだ。

ところで、折につけ触れてきたが、オレは『東京 飛行』が苦手である*1。ジャケットが象徴しているようなモノクロームのギターサウンド、あの「色気」のなさが、性に合わないのだ。いや、もともとイブシ銀のサウンドは大好物。たぶん、言葉を変えれば「イナタい」ロック。しかし、そういうアルバムにあるようなグルーヴ感だとかエモーショナル感だとかを、残念ながら『東京 飛行』には感じることはできなかったのだ。

熱がないのなら、熱のあるときに聴いてみてはどうか。夏に『東京 飛行』を聴いてみると、ようやく少しはその良さがわかってきたかも、と思った。

夏の日差しの下で聴いてみれば、光が当たり色が浮き出てくるように思えた。「ジェンダー」の地熱が沸き出るようなグルーヴ感、「オセロ」のクールなリフから生まれる冷涼さ、「2度目のトリック」の過剰なまでのポップさなど、「焦点が定まらない」と感じていた部分が、「メリハリがよく」聴こえてきた。「髑髏」「カフカの城」はもともと好きな曲なのでうまく繋がる。勢いが付いているので、鬼門の「13号室からの眺め」もノリ良く乗り切れた。「明日の神話」で大仰に感動した後で、やはり鬼門の「ZIGZAG」が……やっぱりこれはダメだった。「後ろ向き」の歌詞が、未だに「田島どうしちゃったの?」という心配になってしまう。気を取り直して熱帯夜のような「夜とアドリブ」に蕩け、最後は大好きな「遊びたがり」で終了。(「飛行、エクトプラズム」は?)

アルバムが出て20ヶ月。アルバムのサウンドにやっと慣れてきたのかもしれない。これまではずっと、こんな色気のない音楽を聴かされるくらいならオリジナル・ラヴなんて聞かない、という気持ちでいたのだが、今となっては、まぁこれが2006年の田島貴男だったのだな、と距離を置いて冷静に聞けるようになってきた、ということなのだろう。

あー、やっぱり裏返しの評価になったなぁ(笑)。『東京 飛行』、やっぱり鬼門だ。

東京 飛行

東京 飛行

2007/06/12(火)

『踊る太陽』から『東京 飛行』へ

| 『踊る太陽』から『東京 飛行』へ - バベルの塔または火星での生活 を含むブックマーク 『踊る太陽』から『東京 飛行』へ - バベルの塔または火星での生活 のブックマークコメント

http://originallove.g.hatena.ne.jp/keyillusion/20070605/myreview

こうまで反応が梨の礫だと、どこからコメントしたら良いやらわからない内容なのだろうなぁという自覚があるとはいえ、やはりガッカリするものだ。

カウンターの類は付けていないので、このブログがどのくらい読まれているのかサッパリわからない。本当に「チラシの裏」状態なのかもしれない。でも、マイペースに坦々と綴っていくしかない。このブログでやりたいことって、面白おかしく読んでもらってコミュニケーションを取ることよりも、自分の考えをまとめることに重点があるのは事実なんだし。(いや~、堅い堅い)



踊る太陽』を聞きなおして、どうして『東京 飛行』にあんなに拒絶感があったのかを思い出した。「マイレヴュー」では書ききれなかったことなので、補足しておく。

踊る太陽』は、曲の出来不出来にムラがあるものの、アルバム全体としてはそれほど悪い印象はなかった。『ムーンストーン』で田島も一区切りついて、ここからは新境地なんだな、という印象が強かったから。バカっぽい曲も多かったが、まずはなにをしてもオーケーという許容感がこちらにあった。

続く『街男 街女』は、『踊る太陽』の路線を拡大発展させたようで、そちらは大いに気に入った。音色は美しいし、曲のヴァリエーションも豊かだったし、なんといってもラストの2曲が「人間・田島貴男」を歌いきっていて、自然体でありながら「傑作」の名に相応しいアルバムだと思った。

ちょうどこのころ、『これがニーチェだ!』(asin:4061494015)という本を読んだ。田島は『ツァラトゥストラ』を愛読していたし、岡本太郎もニーチェの思想の影響を受けた人だ。それで田島も、ニーチェが理想とした絶対的な肯定の精神を音楽として結実させるのではないか、という夢物語を勝手に自分の中で作ってしまった。作品それ自体が光り輝きを発するような奇跡の作品群。次の作品には、漠然とそうしたものを期待してしまった。実際、「鍵、イリュージョン」では、その片鱗が見えたような気がしていた。

そこへ『東京 飛行』というタイトル。「都市」というキーワードで『街男』の続編であることを連想させたし、『キングスロード』で向上した作詞力と、いっそう自然体になったしなやかな楽曲が見事に融合した光り輝く作品になるものと、大いに期待したものだった。

それがフタを開けてみたら。なんか全体に音が堅いし、歌詞を読まないと何を歌っているのかわからないし、ギターの轟音にも必然性を感じられなかったり、おまけに「ロック」系の曲ほどグルーヴ感に欠けていたし、とにかく「ガッカリ」の連続だった。『踊る太陽』の躍動感のある生命力も、『街男 街女』の人間臭さを歌う曲もここにはない。過去2枚にはたしかにあった「パワー」が、『東京 飛行』ではなんだか中途半端に殺がれてしまった感じがする。

東京 飛行』は、岡本太郎3部作の3作目であり、都市を歌ったアルバムとしても『DESIRE』『街男』に続く3作目だろう。普通なら、両者のいいところが出てくれるものなんだけど、なんだか空回りしている感じがするのだ。



…などと、クドクドと文句ばっかり書いているが、実は最近、毎日『東京 飛行』ばかり聞いている。拒否感ばかりが先にあって、あまりヘヴィローテーションで聞き込んでこなかったからだ。それにまた、冬に聞いてダメだったものが、夏になって聞いたら、印象も変わるかもしれないという期待もある。しかし、それでもまだ、このアルバムが「好き」になる気配は、今のところない。

あ、でも。シングルで聞いたときはあまり感慨のなかった「明日の神話」は、今ではかなり好きになった。この曲には間違いなく「パワー」がある(冒頭の余計なピアノと、あっけないエンディングは未だに不満が残るが、それを補って余りあるものがある)。それでも一番好きなのは「遊びたがり」だな。あの切ない歌詞と、中盤の展開はさすが田島貴男だね。

2007/04/20(金)

「東京 飛行」感想 その4(最終回)~「大丈夫なあたりの曲」たちについて

| 「東京 飛行」感想 その4(最終回)~「大丈夫なあたりの曲」たちについて  - バベルの塔または火星での生活 を含むブックマーク 「東京 飛行」感想 その4(最終回)~「大丈夫なあたりの曲」たちについて  - バベルの塔または火星での生活 のブックマークコメント

東京 飛行』感想シリーズの最終回。下の一連のエントリの中で触れてこなかった曲についての感想です。最後に好きな曲についてタップリ書いて、発売以来の七転八倒に一区切りを置きます。

rakuten:book:11926356

髑髏

そろそろ、この漢字が読めずにエントリに飛び込んでくる人もいるかもしれないので念のため書いておくが、「しゃれこうべ」である。

全体はジャイヴだが、多層の構成になっていて、ノスタルジックなラジオ風のサウンドからザ・フーのような轟音まで、歌詞に基づいて曲調が変化していく。この目まぐるしさと、分裂症的な繋ぎ方は、田島貴男でしかできない芸当。素晴らしい。

最終部が「DARLIN'」に酷似している。偶然なのだろうか。「DARLIN'」は、ストーリーテリングな歌詞の曲で、田島の歌詞的世界では大変重要な1曲だと解釈しているのだが、この曲もその流れを汲んでいて、なおかつ現時点での到達点なのだと思う。

カフカの城

疾走感のあるグルーヴで貫かれ、間奏では不協和音も忘れずにアーティスティクな味も忘れていない。サウンド的には、他曲を圧倒的に引き離す、完璧で孤高の1曲である。

文句なく、『東京 飛行』で一番好きな曲。こんな曲ばかりだったら、もっと晴れやかな気分でこのアルバムと接することもできただろうに? いやいや、いかにも「オリジナル・ラヴっぽい」曲であるのもたしかで、「新しい引き出し」などはない1曲でもあるから、そっちの方で不満を漏らしたに違いない(笑)。

明日の神話

シングルで聞いたときは、「可も不可もない曲」とたしかに書いた。

しかし、今ではもっと積極的に評価している。この曲の持つ壮大な世界観を実感できるようになった。

まして、この曲だけが「マイレヴュー」で書いたように「喪失感」のない曲だとわかってなおさらに。

夜とアドリブ

好きな曲なのだが、曲が持っているせっかくの雰囲気を十二分に堪能できていない。「明日の神話」「ZIGZAG」とシングル2曲の後から繋がるので、最初に過度の期待をして聴いてしまった。しかも、クレモンティーヌへの提供曲「リタがダンスを踊るとき」のリメイク作品だったので若干拍子抜けしたのが、今も尾を引いている。情けない。

さて、この曲の「東京」と、自分が生まれてから30年間住んだ「東京」とは、まったく別のものだと思っている。この曲(とアルバム)の都市には「東京」という名前が与えられているが、これは別に実際の東京ではなくて、「都市」であればどこでもいいのではないかと思う。

このあたりに絡んで、http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20061226では、「田島=外国人説」という面白い話が展開されていた。そこの表現を借りればこの曲は「外人が見たトーキョー」といった感じなのだ。生活感がない。ただ、そこにこそこの曲の魅力があるのはわかる。

そういえば、『DESIRE』は民族音楽のアルバムと解釈されがちだが、田島が言うには、あれこそが「東京のポップス」なのだそうだ。田島の東京観は、大人になってから東京に住むようになった「上京者」のそれに近いのではないか。

街男 街女』でも、まるでテーマパークのような現実感のないシティポップス絵巻が繰り広げられていた。『東京 飛行』は、『街男 街女』の延長である、と田島が言っていたが、この曲から考えてみると、実にそのとおりだ。

遊びたがり

カフカの城」の次に好きな曲。途中はとても胸が切なくなり、最後は解放感を得られる1曲。折々に書いてきたが、『結晶』の「セレナーデ」の流れを汲む1曲であるのは間違いない。人を愛したことへの感謝の気持ち。田島もまだこんなナイーヴな歌詞が書けることを確認できたのがうれしい。そして、歌詞の表現力は増しているのに、伝えたいことは変わらないという安心感も。


アルバムの全体印象

本当はこの「遊びたがり」で終わってくれてよかったと思う。その方が、「夜とアドリブ」との対比が際立って良かったのではないか。

最後に「エクトプラズム、飛行」を蛇足してしまう感覚が、うまく理解できない。「映画のようなアルバム」というのが、いまひとつピンとこない。前衛映画のような感じなんだろうか。でも、ちょっとセンスないよなぁ、と思う。

方々で言われているほど、今回のアルバムは、「前作と比べて聴きやすいアルバム」なんだろうか?と、このあたりでは疑問に思う。前作『街男 街女』の方が、全体的に収斂していて見通しが良いが、今作は焦点が定まっておらず、かえってカオス的な印象があるのだけど。(「都市」なんてそんなもんか?)

クドいかもしれないが、次作はぜひプロデューサーを立てて欲しいなぁ。このアルバム、中途半端でアンヴァランスな感じが否めない。歌詞への力の入れ方に比べて、音楽が留守になっているような気がする。もちろん、ギター一辺倒なのも不満…いや、反対に「カフカの城」も「夜とアドリブ」もなくて、いっそゴリゴリのギターサウンドだけで固めてもよかったのではないだろうか。そんな意味でも、なんか煮え切らない一枚。


…また辛口批評になりつつあるので、最後に少し建設的な話で締めくくろう。かつてrararapocariさんが、苦手な『ビッグクランチ』について愛情の裏返しと思えるほどの感動的な「苦手分析」をしてくれたことがあった。

http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20050418#OL

この『ビッグクランチ』で挙げられている「評価の低い3つの理由」は、自分にとってこの『東京 飛行』にそっくりそのまま当て嵌まる。評価の低さは、愛情の裏返しなのである。

2007/02/21(水)

その6『東京 飛行』

| その6『東京 飛行』 - バベルの塔または火星での生活 を含むブックマーク その6『東京 飛行』 - バベルの塔または火星での生活 のブックマークコメント

全アルバムを改めて聴きなおす「マイレヴュー」シリーズの6回目。hiroharuさんに負けず劣らず、こちらも実はマイペースです。

今回は2つの点で異例です。まず、前回『ビッグクランチ』をやると宣言しましたが、最新アルバムの『東京 飛行』をやります。

もうひとつは、新譜は発売1年以上経たなければ「マイレヴュー」として「分析」なんてしたくなかったのですが、今回はあえてそれをやります。常々「考えて」聴くなんてことは、すべての四季を通して聴いた上でなければしたくないと思っているのですが、今回は、その禁を破りたくなるほど、書きたいことが吹き出して来ました。

おことわり

実際に曲を聴きながら、思い出すことを思うままに書いています。そして、「今、この時点でどう聴こえるか」ということを主眼にして書いています。曲にまつわっているイメージをそのまま書いているのであり、曲の解説のつもりなのではありません。したがって、いちいち裏を取る作業は省略していますので、信憑性を少しは疑ってください。

アルバム全体を評価した「オリジナル・ラヴ マイランキング」は、http://originallove.g.hatena.ne.jp/keyillusion/20050309を参照してください。

rakuten:book:11926356

一部、ツアーのネタバレもあります。気になる人はツアー後にどうぞ。

全体的な感想

このアルバムの「補助線」を探していた。その一本を引くだけで、問題全体の解答が導き出せるようなものを。

ちなみに『街男 街女』のそれは、「岡本太郎とその克服」だった。前作はそれが直観的にわかったので、このレヴューは今読んでも、大きく印象を外していないと自信を持っている。このくらい決定的な補助線が、このアルバムにもあるはずだと信じて、1ヶ月もの間、いろいろなアルバムを聴いてきた。そしてついに見つけた。

結論を言ってみる。このアルバムのキーワードは、「喪失」である。

こんなこと、発売から2ヶ月も経っているのだからすでに誰かが言っているかもしれない。しかしその間、他人のレビューをシャットアウトしてきたので、自分は知らない。こんなことすでにわかっている人は、以下を読む必要はないでしょう。そのリンク先を、そっとコメント欄で教えてください。

1.ジェンダー

きみは飾ろうとする女

飾りを取ったきみは

薔薇の花の微かな香りに泣いた

こうして文字に起すと、この冒頭の歌詞は見事に詩的である。本当にあの田島貴男の歌詞なんだろうか?と思うくらい。主人公のこの後の運命を、香り付きで想起させるのだから。『キングスロード』で学んだらしい「歌詞の勉強」は、たったこの3行からだけでも成果を窺うことができる。

しかし!歌詞カードを読まないとき、これがまったく伝わらないのが問題。メインとなるリフもかっこいいのだが、歌い方のせいなのか、歌詞が耳に入ってきてくれなかった。発売後1ヶ月後くらいにはじめて歌詞カードを読むまでは、この状態が、呪縛のように付き纏って離れてくれなかった。

欠けている

独りじゃ

半分しか満たされない

足りない

このサビの部分は、まさに「喪失感」たっぷり。さすが、「明日の神話」の後に作られ、このアルバム全体の源泉となっただけのことはある。

しかし、「ジェ、ジェ、ジェンダー」というダサすぎるサビだけは、どうにかならなかったものなのか。この曲、ひいてはアルバム全体に対する悪印象は、まずはそこに由来している。あとは「ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!」という安直なコール。これも歌詞カードを読むまでは、悪印象の根源だった。

しかし、そのコールの直前の歌詞、

おれにない装置をさあベイビー

取り付けてくれ

ここは言葉がわかってみると実にクールでいいね。少し前に流行っていた「女性は産む機械」みたいな言い回しだ、なんて書いたらちょっと怒られそうだが、あの白痴的な発言とは正反対に、ここでは非常に理知的な香りがする。

2.オセロ

嫉妬でなければ善悪の歌なのかと思っていたが、歌詞を「読んで」みれば、片思いの悶々とした独り狂いの歌だった。

ピエロの役が廻ってきた

という歌詞が印象的で、ここは歌詞カードを読まなくても染み入ってきたが、こんなにも狂おしい意味だったなんてのは、「読む」まではわからなかった。

3.2度目のトリック

冒頭から「なくしたはずの欠片に」と歌っているほど、「喪失」している曲。実は、復縁を望む歌だった。

この「トリック」が「鍵、イリュージョン」で歌われていた、「マジックショー」と同じ意味であるのは、いちいち言うまでもないことだろう。プロモーションヴィデオの刑事ドラマに騙されてはいけない。

4.髑髏

去年亡くなった友人を追悼する歌なのだそうだ。ORIGINAL LOVEのレクイエムといえば、「フィエスタ」そして「アポトーシス」があるが、その中でも一番コミカルな歌だ。終盤が、「DARLIN'」の焼き直しのようだが、なにか関係があるのだろうか?

アナログラジオではじまる構成で、最後がザ・フーのような盛り上がりだそうだ。その盛り上がる部分が、「彼奴」への「なんで逝ってしまったんだよ!?」という理不尽な恨み言からの繋がりであることにも注目。この劇的な構成も、歌詞を読みながらでないとわかりづらいのが難点。

5.カフカの城

きみがぼくを忘れたいま

というメインフレーズ。文句なく、失恋の歌。

必ず何処かで海へ行き詰ってしまう、半分閉塞された状態の「半島」を舞台に持ってきたのは、田島の言語センスの素晴らしいところ。*1

でも、「カフカの城」がどういう処なのかが、不勉強でわからないのが残念。

6.13号室からの眺め

喉が裂けるほど叫びなさい

この命令口調はいい。サディスティックな快感。

13号室は、結局「13枚目のアルバム」からなのだろうか?

7.明日の神話

この曲はこのアルバムの中で最も異質な曲である。

前に、この曲に関しては、こんなことを書いた。

明日の神話」の歌詞のなんとシンプルなことか。この曲の歌詞だけ他の曲とまったくカラーが違う。このアルバムの中で最も最初に書かれた歌詞なのだから、当然なのだが。メロディにぴったりと寄り添う歌詞。自分に馴染みの田島の歌詞だ。

ORIGINAL LOVE - バベルの塔または火星での生活

これは半分当たっていたが、「喪失」というキーワードを通してみたときに不十分な分析だった。

この曲に「喪失」はない。このアルバムの中でこの曲だけが、「実体」を持っているのだ。

「きみ」は現として存在しているし、「たがいに思えば幻じゃなくなる」とまで歌っているのだ。このアルバムの中でも最初にできた曲なのだそうだが、その後にできた曲すべてが「喪失」になってしまっているのは、実に興味深い。

8.ZIGZAG

それなりに前向きなこの曲のどこが「喪失感」なのか。例証は簡単。

手を伸ばしても 星にとどかない

思いめぐらして 手をさぐるよ

彼は何も手にしていない。メッセージソングという、田島にしては異例な曲だと思っていたが、アルバム全体の中ではとくに浮いた曲なのではなかった。

9.夜とアドリブ

他の曲と違ってイメージを繋げただけの歌詞、と田島自らも認めていた。

このアルバムの実質的なタイトル曲であることは言うまでもない。もはやここでは、魂自体が身体から「喪失」しようとしている。

クレモンティーヌ提供曲へのセルフカヴァーなのだが、これは田島の「東京観」の表れなのであろう。これについては、またうまくまとめられたら書いてみたい。「東京っ子」であった自分と、引越し続きで結局「上京」をした田島とでは、東京観が相当に違うことだけを仄めかして。

(補記:http://originallove.g.hatena.ne.jp/keyillusion/20070420/p1 で書いてみた。)

10.遊びたがり

まさか、この歌詞の主人公が2人いたなんて! 歌詞を読むまでまったく気づかなかった。

当然、片思いの切ない気持ちを歌った歌なのだが、これは「セレナーデ」に通じるものがある。君を愛したことについての感謝の気持ちの告白。この切なさが、「喪失」というネガティヴになりがちなテーマを、最後で見事に爽やかさにひっくり返している。それこそオセロのように。

今回のツアーで「セレナーデ」を取り上げたのは、けだし、この曲からのインスパイアなのだろう。「セレナーデ」で締めくくっているからこそ『結晶』は傑作アルバムであると思っている自分は、そう直観する。

だから本当は、この曲で終わらせたかったのかもしれない。だけど「遊びたがり」という他にいいタイトル(サビ)が浮かばなかったのだろうか? 照れ隠しのように、もう1曲蛇足がつく。

11.エクトプラズム、飛行

今、「蛇足」と書いたが、「夜とアドリブ」がなければ、この曲の存在意味はわからない。纏まりがつかなくなってしまったアルバムの締めくくりのための曲という気がする。ビートルズの「サージェント・ペッパーズ・ロンリーハーツクラブバンド(リプライズ)」のような感じ。

全体的な感想(リプライズ)

もう「拒絶感」はなくなった。「2度目のトリック」も「13号室からの眺め」も平静な気持ちで聴くことができるようになった。

歌詞は、本当に素晴らしい。一篇の小説を読むような充実感がある。歌詞だけならば、文句なく過去最高の傑作。

しかし、それがエクリチュールなしでは伝わらないということが、このアルバムの致命的な不満点だ。歌詞を「読む」ということで印象が180度変わってしまったアルバムなんて、これがはじめてだ。ずっとオリジナル・ラヴにはサウンドの素晴らしさに主に惹かれていただけに、その分ショックも大きい。

以上はあえて、そのサウンド面を無視して書いてみました。その辺は、過去の感想文を読んでください。

*1:無粋に現実の場所を推定すると能登半島なのだろうか? 蜃気楼が見えるのは富山湾だから。

2007/02/15(木)

『東京 飛行』の現状

| 『東京 飛行』の現状 - バベルの塔または火星での生活 を含むブックマーク 『東京 飛行』の現状 - バベルの塔または火星での生活 のブックマークコメント

ナップスターを買って以来(正確にはその少し前を最後に)、実は『東京 飛行』を聴いていない。そろそろ1ヶ月くらい経つのではないか。

rakuten:book:11926356

アフィリエイトすればよかった!と後悔するくらいナップナップしてますが、残念ながらそういう仕組みはなかった。そういう不審感を抱かせてしまった(笑)d:id:rararapocariさんから、ちょっと肩を叩かれた。

サニーデイのときは、そういう作り方があんまり好きじゃなかったのよ。もっと文学的に完成されたものを求めてたから。文章だけで読んでもすっげえいいみたいな。今は、歌われてどんだけ爆発するかっていうことが重要になってきてる

DREAM MAGAZINE #9 | sokabekeiichi.com

先ほどの繰り返しになるが、やはりこの部分が、『東京 飛行』の一部の曲への懸念。おそらくid:keyillusionさんの不満の一部もここにあると思う。

Youtaful Days!

「不満の一部」を自ら明言すると、「読まなければ意味の伝わらない歌詞は不完全である」ということだ。

歌詞を「読んで」たしかに世界観は変わった(こちら参照)。では。そうなる前まで聴いていたあのサウンドは一体何だったの?というのが、『東京 飛行』に対して持っている大きな不信感だ。

自分が望んでいるのは詩集なんかではない。素晴らしい曲があり、それにふさわしい深みのある歌詞が伴った音楽を聴きたいのだ。そのヴァランスが、なんだかこれまでになく悪いと思わせるのが、『東京 飛行』への印象だ。

今、『東京 飛行』を聴いていないのは、ナップスターばかりのせいではない。なにか補助線を探しているところなのだ。それを一本引けば、このアルバムの見通しが良くなるような予感がしている。その補助線になりそうなのが、BONNIE PINKの『Evil and Flwers』かな。rakuten:asahi-record:11133021 さらにその一方で、ナップスターで自分の中の「ロック」を再確認しているところである。おそらく、なにか一本の線があれば、このアルバムを正面から評価(もちろんいい方に)できると思っている。あと少しだ。

オリジナル・ラヴは新作が出ると「集大成的」と評されることが多いが、まだまだ全部を出し切っていない。「俺のオリジナル・ラヴはこんなもんじゃねえ」といつも思ってしまう。

Youtaful Days!

同感です。「集大成」は、「ターニングポイント」「進化」といっしょにNGワードにすべきだと思っています。

そしてまた、今の田島とファンの間に足りないものは、これなのだ。

答えは「ライヴ」なのではないかという思いを強くした。

Youtaful Days!

4会場6公演なんて、ハッキリ言ってサボりすぎだ。田島はライヴやってナンボの人だと思う。ライヴをやらないから、作品の方も元気がない*1のでは?

*1:くれぐれも現時点での私見です。