2006/04/11 (火)
■ [雑感]「ヴィーナス」と三沢またろう 
ちょっと前のこと。ヒマなのでテレビを点けたら、パーカッションを叩いている人が映っていて、画面の隅に「三沢」という字幕が見えた。すぐに三沢またろうだと気づいて、そのまま見続けた。
音楽の神様
http://www.nitteleplus.com/stage_music_movie/ongaku.html
ところで、オリジナル・ラヴにおいて、正式メンバー以外の重要人物といえば、誰を思い浮かべるだろうか? グルーヴを大きく変えた佐野康夫、10年以上もサポートに徹するばかりか担当楽器が増え続ける(同情)松本健一、高校時代以来の盟友木暮晋也などなど、オリジナル・ラヴは「一人バンド」と呼ばれるわりに、実はバックメンバーの枚挙に暇がない。その中でも、20世紀のオリジナル・ラヴであれば、この三沢またろうを忘れるわけにはいかないだろう。
またろう氏は、初参加こそ『結晶』からであるが、その後『EYES』~『ELEVEN GRAFFITI』まで、すべての曲に参加している。この期間のグルーヴ感は、佐野氏と小松氏だけの功績ではないはずだ。その後、久々のラテンサウンドだった「アダルト・オンリー」にも参加していたということは、何をかいわんや。
話を番組に戻すと、膨大な参加曲の中から、自らのベストパフォーマンスを自薦していた。その曲とは、桑田佳佑の「波乗りジョニー」。この曲のサビ直前の「チリリン」という音*2に、シンプルながらものすごい「こだわり」を込めたのだそうだ。氏曰く、地味なBメロからサビに繋がるブリッジとして、場面転換的な絶大な効果を与えているのだ、と。それも、3拍目に音が入っているのだが、3拍目に鳴らすのではなくて、3拍目に"向かって"鳴らしているのが、また「こだわり」なのだという。
こういう話を聞いて、イマサラのように気づかされるのは、パーカッションという細かい楽器のアレンジは、実は編曲者の仕事なのではなくて、こういう「職人」に一任されているということだ。だからこそ、生き生きとした音楽が生まれるのだな。
と同時に、もうひとつ大変なことに気がついた。「ヴィーナス」の最終部分、クライマックスで鳴らされるウィンドチャイムは、実はまたろう氏によるアレンジだったかもしれない、ということだ。
「ヴィーナス」のサビが持つ熱さを、一息に爽快に乾かしてくれるあのウィンドチャイムは実に印象的で、ここの部分に神々しいほどの「美」をいつも感じている。「ヴィーナス」は、自分にとって今でもオリジナル・ラヴのすべての楽曲の中でもベストの1曲*3なのだけど、その感動は、またろう氏の仕業だったのかもしれない。
なんてね。もちろん、そこに至るまでの素晴らしい歌詞とメロディも「美」そのものであるのは間違いない。「ヴィーナス」というタイトルは、たぶん仮タイトルだったと思われる旧題の「魅惑の宵」から付けたものなのだろうけど、美の女神の名前が着くにふさわしい1曲だと思うのである。

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